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経済・雇用
朝日新聞社

日本経済、雇用なき「景気回復」 積みあがる内部留保、遠い恩恵

WEB新書発売:2010年8月27日
朝日新聞

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抜け出せぬ外需頼み

 猛暑のなか、三重県の東芝四日市工場では、盆休み返上でフル稼働が続いている。量産されているのは、スマートフォンや音楽プレーヤーなどに使われる「フラッシュメモリー」。世界的な景気回復で、「産業のコメ」である半導体の需要は高まり、世界の半導体売上高も2010年6月まで3カ月連続で過去最高を更新し続けているからだ。
 同じ敷地内では7月から新工場の建設が始まっている。投資額は協力する米サンディスク社の分も含めて約5千億〜8千億円とみられている。国内では久々の大型投資だ。
 2008年秋のリーマン・ショックで大きく落ち込んだ企業業績は、世界的な景気刺激策と新興国の成長により、輸出の伸びで急回復してきた。東証一部上場企業の10年3月期決算は黒字企業が全体の8割を突破した。東芝の新工場建設は日本企業の回復の象徴と位置づけられる。
 ただ、企業には慎重さも残る。東芝の新工場は工期を2分割し、1期目は着工したが、2期目の着工については市況を見ながら判断する。小林清志・上席常務は「国内で供給過剰な状態を作るようなことはしない」と説明する。

日本離れ加速

 日本政策投資銀行の2010年度調査によると、日本の全産業の国内の設備投資計画額は前年度比6・8%増の17兆4549億円と3年ぶりに増加した。しかし、海外への投資額は35・1%増と国内を大幅に上回る。特に自動車(44%増)や電機(55・5%増)など、日本を代表する製造業の海外重視が際だつ。
 横浜・本牧ふ頭に接岸した船から続々と出てくる約1千台のカラフルな小型車。日産自動車の主力量販車「マーチ」の新型車だ。生産地はタイで、日本に「逆輸入」し、7月から国内販売を始めた。
 日産の10年度の設備投資額は3600億円と前年度比3割増だが、その中心は海外だ。メキシコ工場には12年末までに総額約600億円を投じ、マーチを含む小型3車種の生産を始める。インドと中国を含む海外4カ所を生産拠点に、全世界向けに販売する主力量販車を製造する。


 自動車や電機に代表される大企業は、人口減少や高齢化で成長を見込みにくい日本ではなく、成長が期待できる海外に生産拠点や販路を移す動きを強めている。欧州の財政危機や米国の景気減速感からドルやユーロに対し円高が進んでいることも「日本離れ」に拍車をかける。・・・

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