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朝日新聞社

「激突」菅直人vs.小沢一郎 財政、外交安保、国家観… 異なる軸足

WEB新書発売:2010年9月3日
朝日新聞

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〈財政〉菅首相、健全化を前面に/小沢氏、無駄省くのが先

 消費増税を含む財政健全化重視か、それともマニフェスト政策の追求か――。菅・小沢両氏の政策上の最大の争点になるとみられるのが、財政をめぐる議論だ。
 2010年6月に首相に就任した菅氏は、参院選マニフェストを発表する記者会見で財政健全化を目指す考えを前面に打ち出した。自民党の公約を引き合いに消費税率10%という数字を明言。消費増税案の年度内とりまとめまで表明した。
 10年1月の財務相就任当初は消費増税について「逆立ちしても鼻血が出ないほど無駄をなくしてから」と慎重だった。2月には消費増税に向けた議論開始を宣言。ギリシャの財政危機が世界経済に深刻な影響を与えている様を目の当たりにしたことも影響した。
 手始めに財政再建の道筋を法律で義務づける財政健全化法案の提出を模索するが、マニフェストへの影響を懸念する小沢氏の理解を得られず頓挫する。
 それでも菅氏は、「増税と経済成長の両立」論を唱え、デフレ対策としても増税の有効性を強調。歳出圧力が強い2009年の総選挙のマニフェストのままでは11年度の予算編成もできないと、マニフェストの修正にも着手。参院選マニフェストに、財政健全化の項目を加えさせた。
 個別政策でも、09年マニフェストで2万6千円を支給するとしていた子ども手当を「すでに支給している1万3千円から上積み」に修正。農業の戸別所得補償も段階的実施に後退させた。11年度予算でも09年マニフェスト政策の多くを棚上げする方向だ。
 参院選の敗北で「消費税について唐突だった」と自省し、発言をトーンダウンさせた。だが、来年度予算の概算要求基準では各省一律に前年度1割減を要求。財政規律重視の姿勢は変えていない。代表選でも健全化路線を強く打ち出すとみられる。
 こうした菅氏の財政健全化路線を、財務省主導だと批判するのが小沢氏だ。参院選の期間中も「無駄な経費を何兆円も省ける。だから財源はある」などと語り、09年の総選挙マニフェストの重要政策の実現をあくまで目指すべきだと主張してきた。
 もともと小沢氏は、消費税の創設にかかわるなど消費税には理解がある。1994年、国民の批判を浴びて頓挫した細川政権の「国民福祉税」構想も主導した。財務省幹部は「国際貢献のための財源を求める小沢氏にも配慮した構想だった」と振り返る。
 03年、自由党時代にまとめた政策体系の「日本一新11基本法案」でも「全額、基礎的社会保障経費の財源に充てる」として消費税の増税を想定している。社会保障費の増大に伴い、遠くない将来に消費税の増税は避けられないという見方は菅氏と違わない。
 その小沢氏が強く菅氏を批判するのは「(国民の)皆さんに約束してきたことを実行しないと駄目だ」という原則論からだ。
 小沢氏は財政再建を理由に09年マニフェストを修正しようとする菅氏に反発。財政健全化を必ずしも来年度から行う必要はないと主張するが、「09年マニフェストは野党時代の財源の裏打ちを欠く。政権を獲得して実情を把握した以上、現実に沿って修正すべきだ」との批判もある。

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