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朝日新聞社

和歌山、99万人ショック 人口減の現場から

WEB新書発売:2010年9月17日
朝日新聞

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大学・企業、少ない選択肢

 夏休み明けの2010年9月初め、県立桐蔭高校(和歌山市吹上5丁目)の放課後の進路指導室には、ひっきりなしに生徒たちが出入りしていた。室内には教員約10人が待機する。志望校合格のために教科の指導を個別に受けたり、資料室で大学案内や過去問題を調べたり。表情は真剣そのものだ。
 「卒業生には全国レベルの研究ができる場で学んでほしい」と進路指導部長の井松友希さん。県内有数の進学校の桐蔭高では毎年、4人中3人は県外の大学へ進学する。

 「みんな故郷を嫌って出て行っているわけではない」と井松さんは感じている。この夏も帰省した卒業生たちが何人も訪ねてきてくれた。だが、学ぶ分野によっては県外の大学に魅力を感じる生徒が多いという現実がある。「ゆくゆくは地域のリーダーに育ってほしいが、県内に縛られてもいけない」と思いは複雑だ。
 和歌山県は、大学、短大への進学者のうち県外へ進学する率が全国で最も高い。毎年、進学者の約9割が、県外へ「流出」する。背景には進学先の大学、短大の数が少ないことが指摘されている。近畿の大学、短大は、大阪府が80校超、学生数24万人以上を抱える。比較的学校が少ない滋賀でも12校、3万7千人だが、和歌山は5校、8千人足らずだ。
 数少ない大学に残った学生は地元への就職をどうとらえているのか。約4千人の学生がいる和歌山大(和歌山市栄谷)の学生に聞いた。
 和歌山市出身で、経済学部4年の日高悠真さん(21)はすでに大阪市内の不動産会社の内定を得ている。和歌山市内に住む両親のことも考えたが、「街づくりや住まいづくりに携わりたい」という自分の夢を考えると、県内には選べる企業が少ないように感じた。就職先は「自然と関西圏を意識した」という・・・

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