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朝日新聞社

岐路に立つ 阪神水道企業団 累積赤字152億円、増収見込みなし

WEB新書発売:2010年9月17日
朝日新聞

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30年越しの大規模増強工事

 神戸、尼崎、西宮、芦屋の各市でつくる阪神水道企業団が、30年越しで進めてきた尼崎浄水場(尼崎市)の建設工事がこの夏、ついに終了した。人口増に伴う水需要の拡大を見込んで始めた大規模な増強事業だった。ところが当初の予測に反し、近年は給水量が低迷。巨額の事業費が重くのしかかり、企業団は2010年度末、年間の収益に匹敵する152億円の累積赤字を抱える見通しになった。財務の悪化は水道料金の値上げにつながりかねず、私たちの生活とも無関係ではない。




 企業団は、淀川から取水し、猪名川浄水場(尼崎市)と尼崎浄水場の2カ所で水道水にした後、4市に給水している。1978年度からは、尼崎浄水場の増強や送水路の拡張を進めてきた。すべての工事が完了したのは今年7月。事業開始前と比べて、1日の最大給水量は96万トンから128万トンに3割増強された。
 しかし給水量は想定通りには伸びず、むしろ右肩下がりに。1日の平均給水量はピーク時の98年度が77万トンだったのに対し、09年度は74万トンと漸減している。4市の人口はこの間、約244万人から約257万人と増えたが、トイレの節水機器の普及がすすみ、ホテルなどの大口利用者が相次いで安価な地下水利用に切り替えたこともあって、水道水の需要は落ち込んでいる。

 企業団の財務も悪化を続けている。尼崎浄水場整備など一連の拡張事業費は総額約2189億円(見込み)。この費用を工面するため、企業団は「借金」にあたる企業債をこれまでに約1190億円発行した。企業債の償還のために、今年度は約82億円を充てている。4市からは水道供給契約金などとして毎年200億円前後が入るが、企業債の償還が大きな負担となり、99年度以降は赤字続きだ。
 企業団財務課の担当者は「拡張事業を始めた当時は人口や経済が右肩上がりで、給水量の増加に加え、水道料の値上げも見込んでいた。しかし、使用量が頭打ちになった上に、景気の悪化で値上げも難しくなり、想定外の状況になってしまった」と話す。
 ただ・・・

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