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朝日新聞社

キンドルショック 出版界に変革を迫る「黒船」のインパクト

WEB新書発売:2010年10月1日
朝日新聞

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◇「黒船」に備える出版社 ◇日本の電子書籍市場 ◇ケータイコミックが引っ張る ◇どの端末でも読めるように ◇電子雑誌で模索続く ◇書き手自ら電子出版 ◇印刷会社がキープレーヤー ◇書店に人を呼び込む ◇電子関連で広がるビジネス ◇出版取次も変化へ懸命


「黒船」に備える出版社

 「電子書籍の報道は『紙か電子か』の視点からが少なくないが、そのような単純なものではない。同じ作品を読めるチャンネルが増え、紙の本の需要を刺激し、書店を含めた出版市場を活性化させる可能性を秘めている」  2010年5月20日、東京都文京区の講談社。同社の野間省伸副社長(41)は、作家京極夏彦さん(47)の新刊「死ねばいいのに」の刊行とほぼ同時に電子書籍として発売する会見で強調した。配信先の目玉は、この8日後に日本発売が迫っていた米アップルの多機能端末iPad。電子書籍は出版社にとってマイナスではなく、積極的に取り組んでいくという姿勢を示した。

 

 京極さんも「原稿は音楽にたとえれば楽譜。楽譜を一般の人に配って『いい音楽でしょ?』と言ってもわからない。出版社は装丁なども含めて読んでもらうために本を作ってきた。電子書籍を作るのも出版社でなくてはいけないと考えている」と語った。  「死ねばいいのに」は電子書籍としての話題性が相乗効果を生み、現在、紙の本の発行数は約8万5千部と、好調な売れ行きだという。  講談社ライツ事業局の吉沢新一デジタルメディア推進部長(54)は「小説などの書籍やコミックは電子出版で、ある程度の市場規模になる手応えはある。ただ、iPadの普及状況や、新しい端末の登場など見極める点は多い。電子書籍をめぐる環境は今まさに動いており、紙の本との相乗効果を発揮できる試みを積み重ねていきたい」と話す。  10年は「電子書籍元年」と言われる。一方でこれまでも似たような言われ方をしたことはあった。2004年には松下電器産業(現パナソニック)とソニーが電子書籍端末を発売。しかし、読める本が少なかったり、紙の本が売れなくなることや違法コピー拡大への懸念があったりして、時間がたてば読めなくなるなど使い勝手が悪く、失敗に終わった。  転機は、米ネット通販大手アマゾンが昨秋、電子書籍端末キンドルを日本でも発売すると明らかにしたこと・・・

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