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朝日新聞社

昇竜VS.道流 北海道に流入する中国マネー

WEB新書発売:2010年10月8日
朝日新聞

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観光救う、大陸の力

 「空港からのアクセスは」「どんなホテルか」……。
 9月2日、中国・上海のホテル。上海の旅行会社やメディアなど約40社の中国人が約80のテーブルを回り、次々に質問をぶつけていた。
 中国人観光客を北海道に呼び込もうと、上海万博での「北海道の日」(3〜5日)に合わせて開かれた「商談会」。道内の約80の自治体・観光関連企業が主催し、担当者が熱心に「北海道」を売り込んだ。

 中国側の一人は「北海道は有名だけど、どこにどんなものがあるのか具体的な話を聞きたかった」と話した。一方、釧路市の渡部港吾観光振興室長補佐(48)は「中国側の本気を感じ、手応えを得られた」と満足そうに語った。

「何倍にも増」

 北海道観光にとって、中国は「救世主」になっている。
 中国本土から日本への団体観光旅行は2000年に解禁。その年度に北海道を訪れた中国人は2400人だったが、順調に増え続け、09年度は9万2700人に達した。道内全体の観光客数が漸減傾向になっているのとは対照的だ。

 その勢いは加速するというのが一般的な見方になっている。富裕層だけだった中国人向け個人観光ビザの発給対象が、7月から年収6万元(約80万円)程度の中間所得層(約1600万世帯)まで拡大されたためだ。
 北海道は、映画などのロケ地として頻繁に中国国民の目に触れる。ここ1〜2年の急増も、08年末封切りの大ヒット映画「非誠勿擾(フェイチェンウーラオ)」(邦題「狙った恋の落とし方。」)の影響が大きいとされる。
 映画の舞台の一つ・釧路市では、一カ月あたりの中国人観光客数が08年4〜12月は約100人だったが、09年1月は368人、9月には約1500人にまで増えた。
 この状況に対応すべく、ロケ地となった阿寒湖畔で高級ホテルを営む「鶴雅グループ」は1月に海外事業部を設置した。営業推進第2部の高田茂部長(51)は「まだまだニーズはある。訪れる中国人は何倍も増える」と見る。

新千歳に制限

 「官」も積極的に動く。
 道は来月、5社程度の中国企業社員による道内の「体験ツアー」を企画。また大手クレジット会社と連携し、中国の決済カード「銀聯(ぎんれん)カード」を道内で5千円分使えば500円のクーポンがつくサービスの12月実施を目指す。
 社団法人「北海道観光振興機構」は7月、内閣府に「北海道観光インバウンド(外国人観光客の国内誘致)特区」の創設を提案した。
 新千歳空港での中国機の乗り入れ制限の緩和や、中国の免許証で道内でもレンタカーの運転を認める措置などが主な内容だ。同機構の坂本眞一会長(70)は「北海道への関心は想像以上。中国での北海道ブームは5年、10年では終わらない」と期待する。
 だが・・・

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