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朝日新聞社

市民は強制起訴を選んだ 検察審査会「小沢氏の責任、法廷で黒白を」

WEB新書発売:2010年10月15日
朝日新聞

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検審側「慎重の上にも慎重に審査」

 4日午前10時すぎの東京地裁。検察審査員の市民が建物の一室に続々と入っていった。議決内容を最終的に確認し、散会したのは昼ごろのことだった。
 検察審査会事務局の職員2人が、A4サイズの「議決要旨」7枚を東京地裁の脇にある掲示板に張り出したのは、午後3時45分過ぎ。約80人の報道陣から「強制起訴」の声が何度もあがり、カメラのフラッシュが一斉に輝いた。

 民主党の小沢一郎元代表の強制起訴を決める審査にかかわった関係者は4日、こう語った。「慎重の上にも慎重に審査した。証拠だけを吟味した、自信を持った議決だ」
 審査会関係者によると、小沢氏に対する2度目の審査は、今年9月に入って本格化。1度目の審査で「起訴相当」の議決をした11人全員が8月初めに入れ替わり、新たなメンバーが集まった。その後、法的なアドバイスなど審査を補助する弁護士が選ばれた。
 審査の過程で、「元秘書との共謀は認められない」と小沢氏を不起訴にした東京地検特捜部の検察官も審査会に呼び出された。
 検察官は、「起訴にするためには、的確な証拠により有罪判決が得られる高度の見込みが必要です」。法律の素人である審査員らを前に熱心に説明した。だが、それを聴く審査員たちの心中には別の思いがあった。議決要旨にも「検察官が説明した起訴基準に照らしても、検察官の判断は納得しがたい」との表現があった。
 11人の中から選ばれた「審査会長」が進行役になり、検察が集めた膨大な証拠資料を読み込んで議論を重ねた。
 9月14日、それぞれが意見を用紙に書いて多数決をとったところ、11人中8人以上が「起訴すべきだ」と投票した。
 審査対象となった小沢氏側には、この審査で主張できないもどかしさがつきまとった。小沢氏の弁護団は7月、審査員に主張を伝えようと、審査会に上申書を提出した。「収支報告書の記載は秘書任せで、小沢氏に絶大な指揮命令権限などない」「政治家本人の刑事責任を問う事案ではない」。ただ、議決要旨の内容を見ても、上申書が審査の中でどう扱われたのかは不明だ。
 審査会の仕組みでは、審査対象の容疑者の言い分を聞く手続きは定められていない。「証人」と同じ扱いで呼ぶことも可能だが、小沢氏は呼び出されていない。
 また、国政を左右しうる政権党の実力者に対する市民の審査が、秘密のベールに包まれていることも論議を呼んでいる。

「法廷で黒白を」議決 検察官「無罪なら責任は」

 今回の審査員は「男性が5人、女性が6人。平均年齢は30・9歳」。これだけが審査会事務局から公表された、審査員に関する情報だ。氏名、住所、職業などは非公開となっている。裁判員が判決を言い渡した後に裁判所で応じている記者会見も、「そもそも審査が非公開で、起訴前の手続きで捜査の秘匿性の問題もある」という理由で事務局が拒んだ。
 顔の見えない審査員だが、議決要旨の末尾に記された言葉に強い思いが込められている。「有罪の可能性があるのに、検察だけの判断で起訴しないのは不当。国民は裁判所によって、本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利がある」「嫌疑不十分として検察が起訴を躊躇(ちゅうちょ)した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度だ」・・・

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