政治・国際
朝日新聞社

沖縄返還交渉 「密約」の実相  基地存続が前提だった

初出:朝日新聞2011年2月19日
WEB新書発売:2013年4月19日
朝日新聞

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◇沖縄返還交渉、外交文書公開
◇基地の存続、前提に/日本側、「抑止力」を期待
◇繊維問題、「密約」解消を進言
◇外務省、「知らぬ存ぜぬ」に躍起/90年代末、応答マニュアル作成
◇途切れた公開、意図感じる〜我部政明・琉球大教授
◇米放送局移転も肩代わり/1600万ドル負担の密約
◇計算の必要なかった〜吉野文六・元アメリカ局長
◇米、6・5億ドル一括払いを要求


沖縄返還交渉、外交文書公開

 戦後日本外交の最大のヤマ場である沖縄返還交渉は、日本側の妥協と譲歩の連続だった――。2011年2月18日に公開された606冊の外交文書からは、沖縄返還を進めるべく結ばれた数々の「密約」の実相が徐々に浮かび上がってきた。(肩書は当時)

基地の存続、前提に/日本側、「抑止力」を期待

 話があるとの電話を受け、外務省の枝村純郎・北米課長=後に駐ロシア大使=が、米大使館のザヘーレン参事官と都内で会ったのは、1967年7月17日夜だった。
 その2日前、三木武夫外相はジョンソン米大使と会い、「ベトナム戦争の継続中は沖縄返還は困難であろう」と発言した。ザヘーレン氏は、外相の真意について「戦争中は日本の内政上、沖縄基地の利用容認に困難があるから施政権返還に手を着けたくないということか」とたずねた。
 当時、沖縄には核が貯蔵され、ベトナム戦争では出撃基地を担っている。そのまま日本に返還されれば、憲法上も安保条約上も問題が生じかねない。同氏は、助言した。日本が主張すれば「基地の完全撤去にせよ、安保条約下の基地付き返還にせよ、何でも米側に呑(の)ませ得るはずである」。
 沖縄の基地をどうするか。その判断は日本にかかっている――というのだ。
 だがそれには、より深い意味があったという。枝村氏は「基地撤去を求めるならば、日本も自衛力を増強し、防衛責任を担わなくてはならない。政府では撤去など想像できなかった」。
 三木・ジョンソン会談に際し、日本側は返還への考え方を示す「覚書」を米側に渡していた。「沖縄には米軍基地を存続せしめつつ施政権を返還する方途を探求することとなる」と、基地の維持を明確に打ち出した内容・・・

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沖縄返還交渉 「密約」の実相  基地存続が前提だった
216円(税込)
  • 著者川端俊一、金子桂一、高橋純子、鶴岡正寛、谷津憲郎、山口博敬
  • 出版社朝日新聞社
  • 出版媒体朝日新聞

戦後日本外交の最大のヤマ場である沖縄返還交渉は、日本側の妥協と譲歩の連続だった――。18日公開された606冊の外交文書からは、沖縄返還を進めるべく結ばれた数々の「密約」の実相が徐々に浮かび上がってきた。(2011年2月19日、5200字)

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