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朝日新聞社

イス取りゲーム、降〜りた  ロスジェネその後

初出:2011年3月7日〜3月10日
WEB新書発売:2011年3月25日
朝日新聞

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◇「職場が怖い」労働相談へ
◇晴れて社会人、借金あり
◇競争降りて居場所づくり
◇若者の思い、大人手助け


「職場が怖い」労働相談へ

 「上司のパワハラでショックを受け職場で倒れたが、上司は救急車も呼ばず、放置された」「正社員採用されたが試用期間が終わったら『試用だから』と解雇された」。同世代の働き手の相談に、東京の国立大3年、青木耕太郎さん(21)は立ちすくむ。
 2009年、若者が若者の労働相談を行うNPO「POSSE」のボランティア説明会に出会った。親の経済力で進学が左右され、卒業しても生活できる仕事の保障はない現状に漠然と疑問があった。「途上国の貧困より足元の貧困」と参加。3カ月間の講習を受けて労働相談を始めた。
 相談者の労使交渉にも立ち会い、「労働条件は会社の一方的な命令でなく交渉でつくるもの」と実感した。パソコンは初心者だったが、就職活動での学生の法律知識を指南するサイトも立ち上げた。
 POSSEが毎春行う説明会には、青木さんのような若者が100人以上訪れる。以前は20人前後だったが、08年暮れの「年越し派遣村」から急増した。内定が出ず「このままでは将来貧困だ」と不安を訴える例や、就職はしてもパワハラや長時間労働で退職に追い込まれる例が目立つ。
 POSSE代表の大学院生、今野晴貴さん(27)は「非正社員として使い捨てられる新卒が、ロスジェネとして騒がれたのは4年前。『怖い職場』は、いまや若者の日常になった。労働相談への関心は危機感の表れ」と話す。
 中古パソコンリース会社で1年の短期契約を繰り返して10年間働き続けた男性(37)は昨年、雇い止めを通告された。行政書士事務所が舞台の漫画「カバチタレ!」に安易に署名するなとあったのを思い出し、「考えさせて」と時間を稼いだ。
 インターネットで解雇対策を検索し、不安定労働者の問題に取り組む「フリーター全般労働組合」の労働相談にたどりついて労使交渉し、和解金を受け取ることができた。今は労働相談も引き受け、他の争議の様子もビデオに撮り、ネットで流す。「労働や法律が、漫画やネットなどの若者文化にまで浸透し始めた」
 09年に同労組の分会として結成された「キャバクラユニオン」も、キャバクラで働く20代の女性が店長のセクハラや賃金不払いに悩み、ネットで労働相談にたどりついたことが始まりだ。

 高賃金に見えるが、高額のドレス代を負担し、営業ノルマが果たせないと重い罰金。コンビニのアルバイト程度の収入しか手に入らないことも多い。「給料がもらえない」「生活できない」と20〜30代の女性たちから月に20件以上の相談が寄せられる。
 15〜24歳の働く女性の非正規比率は2人に1人。「低賃金に悩む人たちがこの業界に流れ込み、代わりはいくらでもいると経営者が過酷な条件をつきつける。若者の働き方の劣化が労働相談を身近にした・・・

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