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朝日新聞社

チャンス一転、4重苦の観光  青森、消えぬ大震災の爪痕

初出:2011年4月13日〜4月17日
WEB新書発売:2011年4月28日
朝日新聞

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 3月11日の東日本大震災から1カ月。青森県内でもその余波が今なお収まらない。「3・11」が人々やその暮らしにもたらしたものを追った。

〈観光業界〉チャンス一転、4重苦/復興へ誘客策探る
〈避難〉津波への意識づけが課題/2階で孤立、相次ぐ
〈水産業・工業〉復興への歩み、壁は高く/地元も全国も打撃
〈神話崩壊〉核燃半島に不安の連鎖/必要の声も根強く
〈生活再建〉物心両面の支援、長期戦/制度の複雑さ課題


〈観光業界〉チャンス一転、4重苦/復興へ誘客策探る

 「今は旅行をする気がしない」「福島を通りたくない」「地震が怖い」――。
 3月11日の後、冬季休業中の十和田観光ホテルには個人・団体客や外国からも宿泊キャンセルが相次いだ。震災前は4月9日に営業を再開し、ゴールデンウイークには全72室が満室になるはずだった。だが、9割以上が空室で、予約の電話は1本も鳴らない。
 田中光治社長は迷っている。営業再開を26日に延ばしたが、それでも経営は成り立つのか。「なすすべがない。夏まで休んだ方がいいか」。十和田湖国立公園協会などによると、湖畔の宿泊施設35軒で今、営業しているのは1軒だけだ。
 2010年12月に東北新幹線の新青森駅が開業し、「百年に一度のチャンス」(三村知事)と沸き立っていた県内の観光業界は震災で様相が一変した。

     ■     ■
 県が誘致してきた全国的な会議や展覧会などのコンベンションは2011年度45件(見込み集客数5万1千人)が見込まれていたが、8件(同9500人)が中止に。観光庁によると、震災後、県内の宿泊キャンセルは少なくとも4万5千人分に上る。
 震災ではほぼ無傷の津軽にも影響が及ぶ。浅虫温泉のホテル1軒が全従業員40人の解雇に追い込まれ、弘前市旅館ホテル組合は加盟22軒の半数以上が従業員を自宅待機させた。余震、新幹線運休、原発事故の風評被害、自粛ムード。4重苦に旅館経営者は「これ以上持ちこたえられない・・・

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