◇米軍グアム移転費水増し/日本負担率を低く装う
◇自民、顔を使い分け
〜普天間関連公電(1)
沖縄に配慮、米には釈明/小池氏「知事との約束、問題にならない」
【07年11月】
移転費操作で「見せ金」/「日本側の負担率、減らすために計上」
【08年12月】
◇民主、県外案「形だけ」
〜普天間関連公電(2)
「脅威論」嘉手納案封じ/米「中国軍に備え、滑走路3本いる」
【09年10月】
当初から現行案視野/予算成立後に「社民と連立解消も」
【09年12月】
◇米も官僚も新政権警戒
〜普天間関連公電(3)
米「合意見直しなら、忍耐限界」
【09年10月】
外務官僚「米は譲歩するな」
【09年12月】
◇信憑性確認、厳選して公開
〜ゼネラルエディター・西村陽一
◇日本関係公電、6963本を分析
◇〈解説〉浮かぶ互いの不信
◇「ノーコメント」「言ってない」
〜公電に登場の政治家や政府の反応
◇日本発公電、日米関係の変化を反映
〜アサンジュ・ウィキリークス代表
◇透明性は必要、でも外交には秘密も
〜クローリー前米国務次官補
◇文書入手の報道機関「価値とりだす役割」
◇報道の正当性認める/日米での機密関連裁判
◇〈社説〉ウィキ米公電/日本外交の病理あらわ
日米両政府が在沖縄米海兵隊のグアム移転について合意した2006年春のロードマップ(行程表)で、米政府が、関連費用を水増しして日本側の負担割合を見かけ上減らし、日本政府も08年に追認していた。海兵隊の移転人数については、削減をアピールしやすいよう実態より多い数字を挙げていた。
約25万点の米外交公電を入手した内部告発サイトウィキリークスから、朝日新聞が日本関係の公電約7千点の提供を受け、分析する過程で判明した。
海兵隊のグアム移転は、在日米軍再編で、沖縄・普天間飛行場の移設と一体で進められる計画。普天間移設は地元の反対で決着しておらず、再編計画全体の数字の粉飾が米公電に明記されていたことで、反発が強まることは必至だ。
公電は08年12月、在日米大使館から国務省あて。日米両政府は当時、ロードマップに基づき、資金負担の進め方などを決める「グアム移転協定」の交渉をしていた。公電は暫定合意を報告、経緯を詳述している。
公電によると、ロードマップ作成時、米側が「実際は必要ではない」軍用道路の建設費10億ドルを再編費用に盛りこんだ。08年の交渉では米側が、軍用道路を盛りこんだのは総額を増やすことで日本側の負担比率を相対的に低く見せることが目的だったと説明し、日本政府もその点を了承した。
92億ドルだった総額を10億ドル増やすことで、3分の2だった日本側の負担比率が60%を切るように操作していたことになる。06年当時は負担割合をめぐって日米間で激しい駆け引きが行われており、日本側が受け入れやすくするための措置だったとみられる。実際には軍用道路も含めて、グアム移転全体が進んでいない。
移転対象の海兵隊員8千人と家族9千人についても、公電は「日本での政治的効果を上げるため」実数を水増しした、と記した。
沖縄の海兵隊は1万8千人が定数で、うち8千人が移転するというのが公式説明だった。だが公電によると、実際は沖縄の海兵隊は06年時点で「1万3千人水準」。移転の実数が、8千人を下回るのは確実だ。
これまでも、沖縄県などが実数は約1万2千人だけだと指摘。「ロードマップによる移転でこれだけ負担が減る」とされた人数は誇大と批判してきたが、日本政府は確認を拒んできた・・・