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スポーツ
朝日新聞社

ガチンコだから波がある  混迷・大相撲夏場所

初出:2011年5月9日〜5月23日
WEB新書発売:2011年5月27日
朝日新聞

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◇支度部屋一転、ピリピリ/「監視の目、やっぱり気になる」
◇7勝7敗力士、「ヤバい」勝率/親方「千秋楽、気迫違う」
◇八百長、家族も苦しんだ/前竹縄親方の姉「謝罪させたい」
◇白鵬、気迫の4連勝/「私には私の役割がある」
◇新弟子15人ずらり/新序出世披露「関取になって恩返ししたい」
◇稽古緩けりゃ腹も減らぬ
◇監視、形だけなら要らぬ
◇仕切り線2本、力士大型化/土俵の充実・ケガ防止へ見直しも
◇大量引退で昇進チャンス
◇ガチンコだから波がある
◇新弟子が激減/細る財布、部屋は苦境
◇残った、独身十両の現実
◇40代、離れがたい土俵
◇危うい大黒柱・白鵬、楽日に土


支度部屋一転、ピリピリ/「監視の目、やっぱり気になる」

 東西の花道の奥にある支度部屋ドアを開けると、監察委員会の親方らが椅子に腰掛ける。これまでのように、手持ちぶさたに携帯電話を触ったり、雑談したりする力士はいない。「引き締まっていた」。白鵬は取組後、緊張感が増した東支度部屋をこう評した。

 支度部屋は、テニスコート1面分とほぼ同じ奥行き27メートル、幅9メートル。コンクリートの土間と畳58枚分の上がり座敷が、コの字状に広がる。中入り後の午後4時過ぎには、幕内力士約20人に加え、付け人、床山ら100人以上でごった返す。
 東支度部屋の最も奥は、横綱の定位置だ。次いで琴欧洲、把瑠都の両大関が陣取る。人の往来が絶えない部屋の中で、従来は準備運動に熱心とは言えなかった力士が、テッポウ柱の前で体を動かす姿も見られた。ある力士は「監視の目があると、やっぱり気になる」。別の力士は「明らかに静かになった。勝負に向けて集中しやすい」と言う。
 監視の親方は、十両と幕内の取組で交代する。この日の幕内取組で東支度部屋を監視した山響親方(元幕内巌雄)は「付け人の行き来を重点的に見たが、問題はなかった」。二所ノ関監察委員長(元関脇金剛)も「熱気にあふれていた」と監視に手応えを示した。
 外国語の話し声も飛び交い、八百長の温床の一つとされた支度部屋でのなれ合いはひとまず、なりを潜めた。だが、ある幕内力士は冷ややかにつぶやく。「場の空気に慣れてくれば、八百長はいずれ出てくる可能性があるんじゃないか」
 支度部屋への携帯電話の持ち込みが禁じられたが、監視の目が行き届かない国技館の外では使用は自由だ。「八百長の根絶と再発防止の充実」(放駒理事長)に向け、力士たちの「心」が試される場所が始まった。


7勝7敗力士、「ヤバい」勝率/親方「千秋楽、気迫違う」

 7勝7敗力士の千秋楽の勝率が、かなりの高率である、と指摘して有名になった「ヤバい経済学」(2006年、東洋経済新報社刊)。この中で、著者の米国の経済学者は、特に7勝7敗力士が、千秋楽に8勝6敗力士と対戦した際の勝率が79・6%だったとして、八百長の存在を強くにおわせている。

 10年春から11年初場所までの1年間、計6場所で、千秋楽を7勝7敗で迎えた幕内力士は延べ31人。うち、7勝7敗の相星対決が計4番ある。この8力士を除いた23人の勝率は・・・

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