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経済・雇用
朝日新聞社

「雇い止め」を告げられました パート・派遣の耐えられない格差

初出:2011年9月16日〜10月14日
WEB新書発売:2011年10月28日
朝日新聞

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 パート、アルバイト、契約社員、派遣社員――。呼び名は様々だが、そうした非正社員のほとんどが雇用期間が決められた有期労働契約で働いている。雇用期間の定めがなく定年まで働ける正社員と比べ、立場は不安定だ。有期雇用の課題を考える。

◇契約70回、でも雇い止め/減産の「調整弁」に
◇声あげる非正規公務員/法のすき間で苦境
◇待遇差別、声もあげられず/同期社員と年収差500万円
◇社員登用、責任と安定と/地域・職務限定する工夫も
◇法規制は必要か


契約70回、でも雇い止め/減産の「調整弁」に

 「わずか2日間で雇い止めを強行したことに、怒りを覚えます」。2011年9月9日、ホンダの栃木製作所(栃木県真岡市)で期間従業員として働いていた男性(43)は、東京地裁の法廷でそう訴えた。
 男性がホンダから契約を更新しない「雇い止め」を告げられたのは、2008年11月28日朝。その前日は夜勤で、出勤すると説明会開催を知らせる紙があった。説明会には約30人が出席。総務担当者が12月末に契約を打ち切ると話した。生産の減少が理由だった。後で説明会前日に雇い止めを決めたことを知った。
 その年の9月、米大手証券会社、リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)。世界的に景気が大きく落ち込んだ。他社では期間従業員の「雇い止め」が起きているとは聞いていた。でも、ホンダの仕事が急に減っている感覚はなかった。
 「これでクビになっちゃうんだ。次はどうしよう」。次回は更新しない条件で、最後の契約書にサインした。
 ホンダで働き始めたのは29歳。ずっとエンジン部品の最終工程を担当していた。1回の契約期間は1〜3カ月だが、何回も続けて更新された。ただ、1年近くになるといったん退社扱いになった。「退社」する時には「次は大丈夫か」と聞かれ、1カ月も過ぎないうちに「入社」を知らせる電報が届いた。


 「退社」と「入社」を10回繰り返し、契約更新は通算70回を超える。雇い止めに、もやもやした感じが残った。弁護士に相談し、職場復帰を求め09年春に裁判を起こした。


 パート、アルバイト、契約社員、派遣社員――。呼び名は様々だが、そうした非正社員のほとんどが雇用期間が決められた有期労働契約で働いている。雇用期間の定めがなく定年まで働ける正社員と比べ、立場は不安定だ。
 自動車、電機など仕事量が時期によって大きく変わる業界では、有期労働契約は「調整弁」として使われている。労働基準法では1回の契約期間の上限は原則3年。それ以外に規制はない。契約期間が終わっても、実際には繰り返し更新されるケースが多い。
 裁判では「雇用が続くという労働者の期待感を保護するべきだ」と考えられる場合には、正当な理由がなければ雇い止めできないルールが確立している。そのため企業は、契約更新時に空白期間をおいたり、更新に上限を設けたりするなど、慎重に対応する・・・

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