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朝日新聞社

浜岡原発「再稼働」という選択の重さ

初出:2011年11月5日〜11月8日
WEB新書発売:2011年11月18日
朝日新聞

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 菅直人首相(当時)が浜岡原発全炉停止要請を発表してから半年あまり。地元静岡では、電力不足の夏を乗り切った秋、「永久停止」や「廃炉」への言及が続く。朝日新聞では、浜岡原発の今後について、県内全35市町長に自らの考えをアンケートで尋ねた。再稼働に慎重な意見が多い中で、回答からある意外な傾向が浮かび上がった。

◇「地元」乱れる足並み
◇交付金激減 厳しい懐
◇エネ政策、待ったなし
◇全35市町長 浜岡原発本社調査
◇中電対策で再稼働 ゼロ


「地元」乱れる足並み/原発の行方より不透明

〈防災重点区域の拡大〉
 福島第一原発事故の除染問題に追われる細野豪志環境相が2011年11月5日、浜松市中区のホテルにかけつけた。
 「自治体と原子力安全庁が連帯して、しっかりと議論できる態勢を築きたい」
 東海地区の民主党地方議員約150人を前に、12年度、環境省に発足する外局の狙いを説明した。
 原発の安全対策を見直す動きは県内でも広がる。
 内閣府原子力安全委員会の作業部会が11年10月20日、原発事故の際、重点的に防災対策をつくる区域の見直し素案を決めたからだ。半径約10キロ圏内を約30キロ圏内(UPZ)に広げるという内容だ。これによって、安全協定の枠組みも見直しを迫られる。
    ◇
 その直後の11年10月31日、御前崎市の浜岡原発の一角にある原子力館で「情勢連絡会」の初会合が開かれた。
 「原発周辺4市と同じ情報を提供してくれるのか」
 配られた資料を見ながら、森町の高木達雄・防災監が、中電静岡支店の幹部に確かめた。
 「4市」とは、原発が立地する御前崎、その周辺の牧之原、掛川、菊川の各市。「4市対協」と呼ばれる「浜岡原発安全等対策協議会」のメンバーだ。
 4市は原発から10キロ圏内の防災対策重点区域(EPZ)に入り、県とともに中電と安全協定を結ぶ。旧3町時代から40年、浜岡原発の「地元」とされてきた。
 一方、この日、原子力館に集まったのは、森町をはじめ藤枝や焼津など5市2町。原発から半径20〜30キロ圏内に位置し、中電と安全協定は結ばれていない。


 浜岡原発を巡っては、安全協定を結ぶ当事者を、「EPZを行政区域に持つ市」としてきた経緯がある。県原子力安全対策課の藤原和夫課長は「法的拘束力のない紳士協定。当事者の見直しには新たな合意が必要だ」と説明する。
 「地元」と言われてきた4市と周辺の7市町。いま、その枠組みが揺らごうとしている。
 「正式決定すれば、中部電力と安全協定に入っていく」。袋井市の原田英之市長はさっそく、意欲を見せた。「安全協定」に否定的な吉田町の田村典彦町長は「4市対協に入りたい」との意向を見せる。「地元」に入り、「廃炉」を主張する考えだ。
 しかし、4市対協会長を務める石原茂雄・御前崎市長は「国策に協力してきた歴史がある」とし、4市の枠組みを守る構えだ。ただ、牧之原市の西原茂樹市長が「永久停止」を主張し、足並みは乱れる。


    ◇
 そんな中、トラブルで停止していた佐賀県玄海町の九州電力玄海原発4号機が運転を再開した・・・

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