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経済・雇用
朝日新聞社

どうする世界債務危機 「日本は欧州を心配している場合ではない」

初出:2011年11月11日〜11月25日
WEB新書発売:2011年11月25日
朝日新聞

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 欧州の政府債務危機がイタリアに波及し、混乱が深まっている。何が問題なのか。抜け出すためにどうすればいいのか。日本は欧州をどう支援すべきなのか。世界の識者に聞いた。

◇ギリシャのユーロ離脱、不可避
◇緊縮財政では克服難しい
◇新首相なら構造改革進む
◇新興国もIMFに資金を
◇日本の国債、5年先が心配
◇中国輸出減、成長に陰り
◇G20はIMF通じ支援を
◇IMFの役割欠かせない
◇ECBの国債購入が唯一策
◇政治の決断力が足りない


ギリシャのユーロ離脱、不可避

UBS上級経済顧問 ジョージ・マグナス氏


 ――危機はイタリアに及んでいます。もしものときに救済できますか。
 「大変な問題になる。もしイタリアを、ギリシャやポルトガルなどと同じような仕組みで救済するとすれば、4千億ユーロ(約42兆円)から5千億ユーロ(約53兆円)は必要だろう。救済基金である欧州金融安定化基金(EFSF)には十分なお金がない。国際通貨基金(IMF)と共同で救済するしかないが、IMFの貸し出し枠にも余裕はない」

 ――欧州はこれから、EFSFを再拡充する計画ですが、うまくいきますか。
 「国債の一部の損失保証をしようとしており、平時なら機能する仕組みだろう。しかし、仮に元本の2割を保証するといわれても、投資家が元本の5割とか8割とか損をするかもしれないと考えるなら、あまり意味がなくなってしまう。特別目的投資会社をつくって他の国にお金を出してもらおうという仕組みもあるが、ドイツがこれ以上出そうとしないのに、中国などが出すとは思えない」

 ――ギリシャは大連立による暫定政権作りに動いています。ユーロ圏離脱は避けられますか。
 「ギリシャはいずれ政府の債務(借金)を削減するために債務不履行(デフォルト)になるだろう。問題は、経済の競争力を取り戻すには、それだけでなく通貨の価値を下げることが必要だということだ。だが、ユーロ圏にとどまるとすれば、ギリシャの都合だけで通貨を下げることはできない。通貨下落と同じ効果を生み出すには、賃金と物価を下げる以外にない。これは非常に危険なことだし、難しいことだ。遅かれ早かれ、ユーロ圏を離脱せざるをえなくなる」

 ――その場合は、ギリシャからお金が逃げ出し、大変なことになるのでは。
 「非常に危険な状態になるだろう。ギリシャがユーロ圏を離脱しそうだとなれば、ギリシャだけでなく、財政が不安視されているイタリアやポルトガルからも資金が国外に逃げ出す。欧州はこうした事態に備えなければいけない」

 ――ユーロ圏は存続できますか。
 「財政同盟をつくることが必要だが、それはおそらくドイツ流の考えが反映されたものになるだろう。財政規律を保つやり方に統一されていくということだ。そこにギリシャやポルトガルが残るとは思えない。最終的にイタリアやスペインが残れるかどうかも分からない・・・

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