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朝日新聞社

セシウムに汚染された大地 「300年は住めない」

初出:2011年11月23日〜11月25日
WEB新書発売:2012年6月22日
朝日新聞

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 1986年のチェルノブイリ原発事故では、東京電力福島第一原発事故の約7倍に相当する量の放射性物質が放出された。保護区に指定された高汚染地帯は、事故50年後も超高濃度の汚染が残り続けるという。今なお放射能汚染と向き合う大地をたずねた。

◇「300年は住めない」
◇森も畑も除染断念
◇事故50年後も超高濃度汚染域
◇被曝チェック延々
◇避難、差別に苦しむ日々


「300年は住めない」

 ベラルーシの南部、ウクライナとの国境地帯に広がる2165平方キロの「ポレーシェ国立放射線生態学保護区」。1986年のチェルノブイリ原発事故で汚染され、居住は禁止、立ち入りにも許可が必要だ。
 「ほら、あそこにヘラジカがいる」。動物学者ワレーリ・ユルコーさん(49)が離れた草むらを指さした。初雪が積もった草原に、頭がひょこひょこ動くのが見える。住民がいなくなって25年。上空をワシが飛び、至る所にオオカミやイノシシなどの足跡がある。
 ベラルーシに降ったセシウム137の3割(4810テラベクレル、1テラは1兆)、ストロンチウム90の7割(444テラベクレル)、プルトニウムのほとんど(14・8テラベクレル)を含む高汚染地帯は88年に保護区に指定された。人が戻らなくなったため、多くの野生動物がすみついた。鳥類は216種、うち58種は絶滅危惧種という。高濃度の放射能が生態に与える影響はよくわかっていない。
 森の中に、数十メートルにわたる鉄条網で囲まれた空き地があった。放射能の危険を示す標識が立つ。除染による汚染土やがれきなどを、人のいない保護区に数メートルの穴を掘って埋めた。こうした処理場が82カ所ある。
 保護区の責任者ピョートル・クダンさん(54)によると、事故時の消火薬剤などと放射性物質が混ざったほこりが保護区に落ちた。今でも、そうした汚染物質を吸い込む危険があるという。「保護区のほとんどの所で、300年間は人が住めません」


森も畑も除染断念/範囲広大、資金も足りず

 ベラルーシ南部の立ち入り規制区域、ポレーシェ国立放射線生態学保護区には、かつて92の村があり、2万2千人が暮らしていた。チェルノブイリ原発事故の後、住民は強制移住させられ、高濃度に汚染された13の村については、残したら汚染を広げかねないため、壊されて埋められた・・・

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