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朝日新聞社

給与明細の達人 暮らしを楽にする最新ノウハウ

初出:2012年4月12日〜20日
WEB新書発売:2012年5月25日
朝日新聞

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 収入が増えず、消費増税も見込まれる中、家計は難しいかじ取りを迫られています。会社勤めの人が毎月受け取る給与明細には、家計を守るヒントが満載。給与明細の読み解き方や間違いに気づいたときの対処法などを紹介します。2012年4月に朝日新聞生活面で連載した「お財布サバイバル」より。

◇第1章 借金苦、まさか自分が
◇第2章 住宅ローン、余裕のはずが
◇第3章 老後・学費…先行き不安
◇第4章 働けど…残業代どこへ
◇第5章 明細チェックは「宝探し」
◇第6章 制度を知って家計を守る


第1章 借金苦、まさか自分が/「資産なし世帯」3割に増加

◎不況…収入減り返済重く
 東京・銀座の東京都生活再生相談窓口。お金に困った人たちの「駆け込み寺」だ。
 12年3月、重苦しい空気の中、相談員と弁護士を前にデザイナーの男性(59)が口を開いた。「なんとか減らしたいのですが……」。紙には男性の負債が記されている。税金とその延滞金が計390万円。消費者金融への返済が月3万円、東京郊外のマンションのローン返済が月8万円――。
 自営だったデザインの仕事は、10年ほど前から激減。貯蓄は底をつき、生活のために消費者金融から借りた。税金は払えず、住宅ローン返済は滞る。負債はふくらんだ。
 今は、食品関連工場で働く。パートの妻と合わせて月の手取りは22万円。だが、月々の返済は収入を上回る。家族4人が暮らすマンションも差し押さえられた。男性が言う。「無駄遣いやぜいたくをしたわけではない。まさか、自分がこんなことになるなんて、夢にも思わなかった」
 相談窓口を訪れる人は年間600〜800人。半数以上が生活費の不足や収入減を借金の理由に挙げる。窓口を運営する「生活サポート基金」の横沢善夫常勤理事は「2008年のリーマン・ショック後、雇用の悪化が進み、自然に生活が苦しくなる人が増えた。借金生活に陥っているのは特別な人ではない」。
 12年2月に発表された金融広報中央委員会の調査によると、預貯金などの金融資産を「保有していない」と答えた2人以上の世帯は、28・6%に達した。前年から6・3ポイントの増加だ。貯蓄がある人でも、残高が1年前に比べて「減った」世帯は40・5%で、「増えた」と回答した世帯の2倍近い。理由は「収入が減って金融資産を取り崩した」(43・3%)が最多だった。
 栃木県で夫と2歳の男の子と暮らす主婦(33)も、多いときで60万円あった貯金が、この数年で10万円になった。流通関連の会社で働く夫(36)は、不況でボーナスがカットされ、年収は300万円ほどに。管理職になって残業代も出なくなった。
 それでも、月3万円の車のローンは12年3月、返し終えた。今は赤字から脱し、月1万〜2万円の貯金目標をたてる。だが、12年6月には第2子の出産を控える。「子どものために貯金したいけど、難しそう」



◎苦しい時こそ家計簿
 色川卓男静岡大教授(生活経済学)は「家計所得が飛躍的に増えることは期待できない。右肩上がりを前提としない家計運営が必要」と話す。
 貯蓄ゼロ家計の相談を受けるファイナンシャルプランナーの横山光昭さん(40)は「貯蓄ゼロはリスクが高い。通院や買い物時のクレジット分割払いなど、少額の借金から、多重債務に陥るケースが多い」と忠告する・・・

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