教育・子育て
朝日新聞社

PTA不要論 誰が誰を支えているのか

2012年10月12日
(11400文字)
朝日新聞

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 PTAは本来、強制加入でなく任意加入の団体。でも、地域や学校によっては役への強制加入や過度なPTA活動が保護者の負担となるなど、問題も抱えています。保護者と学校のつながりを保ちつつ、参加しやすいPTAにするにはどうしたら良いのか。新しいPTAのあり方について考えます。

◇第1章 苦労のバトン、渡さないで
◇第2章 「原則知って」各地で動き
◇第3章 業務減らし、分担も工夫
◇第4章 任意加入、周知に波紋
◇第5章 会費が学校の「第二の財布」?
◇第6章 寄付や行事改め値下げも
◇第7章 非会員の行事参加に課題


第1章 小説家が見たPTA 苦労のバトン、渡さないで


 新しい学年が始まりました。PTAにどのようにかかわるか、悩んでいる保護者もいるでしょう。今春、ドラマ化された小説「七人の敵がいる」はPTAが舞台。PTAをどう考えるか、作者の加納朋子さんに聞きました。

 ――なぜPTAを小説に

 同じクラスのお母さんがくじ引きでいきなり執行部の役員になり、毎日のように学校に通っていると聞き、PTAって何て怖いんだろうと思ったのがきっかけです。私自身も小学校でPTA役員に。体験や身近な人から聞いた話など、長年の蓄積を小説にしました。



 ――主人公は働く母。「PTA役員なんて、専業主婦じゃないと無理」と言って「敵」を作ります

 自宅で仕事をしているので、専業主婦の気持ちも分かります。専業主婦の言い分は「仕事が忙しいって、好きで選んだことでしょ。こっちはあなたが稼いでいる間、無償でPTAよ」と。
 働く親の子が平日、家に遊びに来て大騒ぎ。散らかし放題で勝手に冷蔵庫を開けられて、なんてことが続くと「これだからお母さんが見てない子は」と亀裂が生まれることもある。働く親は、そんな細かい積み重ねが分からないですよね。

 ――PTAは負担ですか

 父親は仕事で参加できなくて当然、母親はPTAのために仕事を休んで当然という考え方が根強くあります。これだけ働く女性が増えているのに、PTAという入れ物は昔のまま。何か事業をしようとしたら、一番高くつくのは人件費なのに、PTAとなると問答無用で無償で駆り出され、無駄な時間の使い方をされて、感謝もされない。

 ――変わりませんか

 仕事を減らそうとすると、「私たちの時はやったのに」という雰囲気になり、結局、苦労のバトンタッチ。「ずるい」「不公平」という言葉もよく聞きます。「子どものため」と言われると、すべての意見が封じられてしまいます。

 ――PTAは必要ですか

 地域の見守り機能が薄れている今、子どもを守るという観点から必要です。閉鎖的な学校では、PTAが外部へつながるドアにもなります。ただ、もっと仕事量を減らせます。補助金のために開く講演会や花壇の世話など、本当に必要かと思うものもあります。

 ――理想的なPTAとは

 学校にかかわる仕事を、それぞれの保護者が、得意分野を生かして有料で請け負う――。エピローグは、現実的でないのを承知で書かずにいられませんでした。
 お母さんが笑っていると、子どもは幸せです。PTA活動のせいで笑えなくなるのは本末転倒。笑顔でいられるPTAの形、模索できるといいですね。



◎組織、仕事内容、会費…学校ごとに様々
 自分が入っているPTA組織の全体像を知っているだろうか。一例を図にしてみた。「PTA総会」のもとに、会長や副会長、書記、会計で構成する「役員会」や、クラスごとに選出される「学級(クラス)委員」で構成する「委員会」がある。
 ただ、これはあくまでも例に過ぎず、組織の形や委員会の数、仕事の内容は学校によって違う。
 会費の額にも幅がある。小中学校の場合、年間千円程度から1万円近いところまで。世帯ごとか、在籍している子どもの人数分か、など集め方も異なる。
 学校PTAには上部団体がある。市レベルの「○○市PTA連絡協議会」(市P)、その上部団体の「○○県PTA連絡協議会」(県P)などだ。これらの団体のトップにあたるのが、社団法人日本PTA全国協議会(日P〈にっぴー〉)だ。
 上部団体に所属するかどうかの選択は各PTAに任されている。例えば東京23区で、都小学校PTA協議会に所属しているのは6区のみ。都全体で見ると、同協議会への所属率は17%(2011年度)だ。
 上部団体に所属した場合、各PTAは会費を納めて会議に出席するほか、講演会など主催行事に参加を促されることがある。



第2章 「入退会は自由」 「原則知って」各地で動き


 本来、PTAは任意加入の団体。その原則に立ち返り、自由な入退会を周知する動きが出始めています。

 岡山市立西小学校(児童数約1300人)のPTAは、「入退会は自由」という原則を、今年度から保護者たちに知らせ始めた。「参加は任意のはずなのに、知らせないのはおかしい」という保護者の指摘などもあって、踏み切った・・・

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PTA不要論 誰が誰を支えているのか
216円(税込)

PTAは本来、強制加入でなく任意加入の団体。でも、地域や学校によっては役への強制加入や過度なPTA活動が保護者の負担となるなど、問題も抱えています。保護者と学校のつながりを保ちつつ、参加しやすいPTAにするにはどうしたら良いのか。新しいPTAのあり方について考えます。[掲載]朝日新聞(2012年1月15日〜5月12日、11400字)

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