政治・国際
朝日新聞社

尖閣国有化 野田政権が決断するまでの水面下の動きを検証

2013年03月01日
(12800文字)
朝日新聞

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 2012年4月16日、東京都の石原慎太郎知事はワシントンでの講演で尖閣諸島の購入を表明した。都が募った購入のための寄付金は10億近くまで膨らんだ。中国政府も水面下で反発するメッセージを伝えてきた。5月18日、野田首相は高官を前に初めて「国有化」を口にした……9月11日の国有化閣議決定後は反日デモが激化し、経済や民間交流にも大きな支障が生じている。野田政権はなぜ国有化に踏み切ったのか。都、地権者、中国とのやりとりを明らかにし、決断までの動向を徹底検証する。

第1章 検証 国有化
 ・5月18日、尖閣購入に踏み出した
 ・尖閣購入「20億円」都から主導権
 ・中国の反発、数十項目想定したが
 ・首相「中国は焼き打ちを黙認か」

第2章 日中関係、深まる溝


第1章 検証 国有化

5月18日、尖閣購入に踏み出した/首相、官邸に高官集め指示
 「領土保全はそもそも国がやるべき仕事だ。国が責任を持ってやる」。12年5月18日、野田佳彦首相は官邸の執務室に政府高官らをひそかに集め、国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を購入する「国有化」に着手するよう指示した。
 東京都の石原慎太郎知事は12年4月16日のワシントンでの講演で「日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか」と語り、尖閣諸島の購入を表明。野田政権はどう対応するのか判断を迫られていた。
 執務室には藤村修官房長官や長浜博行官房副長官、長島昭久首相補佐官、佐々江賢一郎外務次官(当時)、河相周夫官房副長官補(同)らが顔をそろえた。出席者によると、長島補佐官は「国が購入した方が穏当だ。平穏かつ安定的な維持管理が目的だと言えばいい」と主張。それまで「購入は都に任せ、中国には『一自治体がやっていることだ』と説明すればいい」と主張していた外務省の佐々江次官も異を唱えず、議論に耳を傾けていた首相は初めて「国有化」を口にした。
 首相は当初、尖閣国有化に慎重だった。4月27日、官邸で会談した石原知事から「本来、尖閣は国が買い取るべきだ」と水を向けられても言葉を濁した。直後の29日、オバマ大統領との会談のために米国に向かう政府専用機内で、長島補佐官が「やはり国がやるのが筋では」と助言しても、「そうだな」と言うだけだった。
 だが、東京都が尖閣購入のために募集した寄付金はどんどん膨らみ、「10億円に近づくと切迫感が出てきた」(首相周辺)。石原知事が先行取得すれば、野田政権への弱腰批判が起きかねない。一方、中国政府も対中強硬論で鳴らす石原知事を警戒。日本側に「石原知事が島を買えば取り返しのつかないことになる」とのメッセージを水面下で送ってきていた。
 日本側は「石原知事が買うよりも、国が保有した方が中国の反発は少ないだろう」(政府高官)と踏んでいたが、中国政府は、日本政府が都の動きを押さえ込んでくれると期待。両政府の認識の違いは次第に広がっていった・・・

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尖閣国有化 野田政権が決断するまでの水面下の動きを検証
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2012年4月16日、東京都の石原慎太郎知事はワシントンでの講演で尖閣諸島の購入を表明した。都が募った購入のための寄付金は10億近くまで膨らんだ。中国政府も水面下で反発するメッセージを伝えてきた。5月18日、野田首相は高官を前に初めて「国有化」を口にした……9月11日の国有化閣議決定後は反日デモが激化し、経済や民間交流にも大きな支障が生じている。野田政権はなぜ国有化に踏み切ったのか。都、地権者、中国とのやりとりを明らかにし、決断までの動向を徹底検証する。(2012年9月24日、9月26日、12800字)

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