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朝日新聞社

氏ね氏ね臭い臭い ネット&いじめ 大人の知らない新潮流

初出:2013年1月19日〜2月2日
WEB新書発売:2013年2月8日
朝日新聞

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 メールやインターネットの掲示板で実名を挙げ、中傷する「ネットいじめ」が広がりを見せている。検索で発見されないために、「死ね」のかわりに「氏ね」と書くなど、手口も高度化している。もともと、子どもはいじめにあっても親にはなかなか言い出せないもの。ネットや携帯電話の普及で、大人が子どもの苦境に気づくのは、昔より難しくなっているのだ。子どもを守るためにいま、何ができるのか。リスクを避ける方法や対処法を探った、全「親」必読のレポート。

◇第1章 ネットによる中傷
◇第2章 許されぬ事と伝える
◇第3章 話してくれない


第1章 ネットによる中傷

◎書き込むリスク、常に意識
 「○○(実名)です。誰かエッチしてくれませんか」と実在の人物になりすまして掲示板に投稿した――。ネットいじめの一例だ。
 先月中旬、大阪府東大阪市立孔舎衙(くさか)中(約700人)。講師の竹内和雄・兵庫県立大准教授が、実際にあった事件をもとに生徒たちにクイズを出した。
 冒頭のようなケースはどうなるだろう。生徒たちは(1)逮捕または書類送検(2)警察に呼ばれた(3)何もなかった――から答えを選んだ。
 正解は(1)。知人を中傷する書き込みをした少年は、名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕された。竹内さんがそう明かすと、「うそー」。生徒たちのどよめきが収まらない。「思ったより厳しい」と2年の西広幸さん(14)。
 いじめや不登校、ネット問題を研究する竹内さんは、各地でネットをめぐる問題をテーマに講演を開いている。「どよめくのは、どの学校も同じ。程度の差こそあれ、多くの子に心当たりがあるはず」と話す。
 生徒たちへのアンケートによると、携帯所持率は83%。メールや掲示板で嫌なことを書かれたことがあるのは11%、チェーンメールが回ってきたことがあるのは78%だった。
 講演では、ネットへの書き込みをきっかけに住所や名前を割り出され、写真までアップされたケースを紹介。情報が広がる怖さを説明した。一方、東日本大震災で情報収集にネットが活躍したことも伝えた。「規制だけしても意味はない。使い方を選ぶ力をつけてほしい」と竹内さん。2年の土井優果さん(14)は「誰が見ているかわからないことを忘れず、個人情報を書き込まないようにしたい」。



◎着信音オフ、要注意
 「○○(名前)氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね――」「○○臭い臭い臭い腐れ氏ね」
 ネット上に実際にあった書き込み。「死ね」でなく「氏ね」と当て字を使うのは、専門業者による検索をかいくぐり、通報されるのを防ぐためだ。「ネットいじめは巧妙、悪質になっている。パスワードが必要なサイトを使うなど、奥へ奥へと潜んでいるだけだ」。全国webカウンセリング協議会理事長の安川雅史さんは、こう話す。ネットを使ったいじめやトラブルについての協議会への相談は、年8千件を超す。
 子どもを被害者にも加害者にもさせないために、親ができることは何か。
 まず、学校裏サイトなどへの接続を制限するフィルタリング(閲覧制限)を携帯電話などに設定する。
 他人のアドレスを無断で使い、メールを送りつける「なりすましメール」。「おまえ死ね」などのメールを、クラス全員のアドレスを使って1人に送りつけた例もあった。なりすましメールも、設定によって受信を拒否する方法がある。やり方は、携帯各社に問い合わせよう。
 いじめへの加担を強いられるチェーンメール。「○○うざい」などのメールを複数に転送し、広げる。「誰が止めたかはわからないので、転送しなくていい」と安川さん。不安な時は協議会が設けたアドレスに転送すれば、協議会がメールをためておいてくれる。悪質なケースは警察に通報することもあるという。
 ネットの世界は見えにくい。子どものSOSを見逃さないよう、普段からかかわることが重要だ。いじめにあっていると、周囲が気づく手がかりはあるのか。
 これまで携帯の着メロや着うたを楽しんでいた子どもが、急に着信音をオフにしたら要注意だ。メールを怖がっている可能性がある・・・

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