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朝日新聞社

「つけま」だけで市場100億円! 女心を支える魔法は解けない

初出:2013年4月4日〜4月6日
WEB新書発売:2013年4月19日
朝日新聞

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 「何でお化粧するの?」。求めているのは単純な美しさだけではない。つけまつげを何枚も重ねるのも、あふれるほどの新商品を次々試すのも、小さな化粧ポーチを大事にするのも、みんな「チカラが欲しいから」。時には自分を守ってくれて、時には一歩踏み出す勇気をくれる。化粧のチカラを味方にすれば、怖いものはない。

◇第1章 私の目に魔法
◇第2章 肌に効く、信じたい
◇第3章 心のスイッチ、入った


第1章 私の目に魔法

◎「つけま」市場、102億円に膨張
 満開のサクラに浮き立つ日曜日の原宿・表参道。つけまつげは女の子にとって「付けるタイプの魔法だよ」。そう歌ったきゃりーぱみゅぱみゅの大看板を積んだ広告トレーラーが通り過ぎる。雑踏を目ヂカラ全開のメークで歩く彼女たちに聞いた。
 「なぜ『つけま』なの?」
 2013年4月から高校生という東京都日野市の15歳は、「他の人より進んでいたいからかな」。


 過剰なくらい「盛りたい」から、100円ショップで密度の濃いタイプを選ぶ。最初は化粧自体が下手だったせいもあって、母親(52)に「おばけみたい」と驚かれたが、半年たつと互いに慣れた。
 下北沢に住む21歳のフリーターは、「目に迫力を出したい」。つけま歴は4年だ。
 ピンクのカラーコンタクトに茶色のつけまつげで、たれ目に見えるようメークする。「いかにもつけているというのはいや。ふぁさーってさせたい」。西洋人形のようなまつげを「ふぁさふぁさ」と表現する。一つの理想なのだ。
 「一度つけると、それが自分にとって一番いい顔に。つけていない状態が物足りなくなる」とメーカーの開発担当者は言う。市場は販売額ベースで推計102億円(2012年、富士経済調べ)。アイシャドーの3分の1の規模とはいえ、この10年で4倍に膨らむ。購買層は10〜20代が圧倒的だが、人気を横目で見ていた上の世代にも広がる。赤、青など色つきのタイプや、飾りがついたものなどデザインの多様化も進む。
 原宿駅近くのドラッグストア「アインズ&トルペ原宿クエスト店」は、つけまつげ売り場をこの2年で3倍に広げた。店には、化粧品業界の関係者が、売れ筋をチェックしにやってくる。
 副店長の市川準一さんは「毎週金曜に新商品を並べると、売れる売れないはその週末にわかる」。価格は2組1260円が相場。50セット売れた商品は目立つ場所に移し、10セット未満なら次回は仕入れない。この店での売れ筋商品が、1カ月後にはおもしろいように地方都市の店で動き始める。
 岡山市の栄養士、加賀礼華(あやか)さん(24)は市内の病院が職場だ。休日の顔は「上まぶたに3枚、下に1枚」。自分をデコレーションする気分で、髪も1時間かけて巻き上げる。
 衛生を気遣い、職場ではすっぴん。自分の時間はフルメークにピンクのふわふわファッションと、オンとオフで切り替える。仕事へ行くために化粧するのとは逆のパターンだ。「やりたい仕事だからお化粧ができないのは覚悟していた。でも、メークしている方が自分の顔。落ち着きます」
 悩みは、大人が言う「普通の化粧」の加減がわからないことだ。「研修会など仕事の延長で出かけるときが一番困る。礼儀というものがあるでしょう」。好きな顔と、大人の「普通」。折り合う地点は、「つけまつげ1枚かな・・・

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