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朝日新聞社

女の人生山脈 更年期をどう乗り越えるか

初出:2013年7月3日〜7月5日
WEB新書発売:2013年7月19日
朝日新聞

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 男女雇用機会均等法の施行後に就職した女性の多くが、2013年、50歳になる。女性の45〜55歳前後は、卵巣の働きが衰えるため、ホルモンのバランスが崩れ、様々な不調を経験する。日常生活に支障をきたすほど重い症状を、更年期障害という。女性なら誰もが通らなければいけない「山」を、どう乗り切ればいいのか。専門家や先達の声を聞きながら、前向きな「つきあい方」を考えてみた。

第1章 発汗・頭痛…働く私、もしや
第2章 心身の不調 職場サポート
第3章 つらさ、上手につきあうには
第4章 更年期の悩みと対策


第1章 発汗・頭痛…働く私、もしや

 受付の奥にあるパソコンで作業をしていると、体がかっかとほてってきた。
 来た来た来た。
 神戸市のクリニックで働く医療事務の女性(47)は、そっと外に出て風に当たった。
 更年期のホットフラッシュに悩むようになって、2年たつ。同世代の看護師には「すごく体温が高い」と悩みを打ち明けた。でも、年下の同僚に「体調が悪い」とこぼすと、「定食2人分は食べられそうですけどねえ」と返され、思わずキレそうになる。

◎家族の気遣い
 大手化粧品メーカーに勤めていた。30代半ばで医療事務に転職。結婚し、40歳の時に長女が生まれた。
 クリニックでは一番のベテラン事務員だ。患者のデータも、完全に頭に入っている。みんなに頼りにされているのに、ホットフラッシュが起きると頭がぼうっとする。精算を終えた患者に、明細書を渡し忘れたこともあった。
 仕事をやめようと思ったこともある。でも自分が定年退職する時、長女はまだ20歳。働けるうちは頑張りたい。
 疲れがひどいせいか、夫婦げんかも増えた。でも、夫に怒ってみても、つらさが伝わるわけじゃない。
 思いきって、夫にホットフラッシュや頭痛の話をした。「知らなかった。もっと早く言ってほしかった」
 ある日、ベッドサイドにうちわが置いてあった。夫だ。「ママがいつも暑い暑いって言うから」。長女は枕にタオルをあてがってくれた。
 この家に2人も、私を気遣ってくれる人がいる――。そんなことで症状がすっと軽くなる気がした。

◎小さな達成感
 重いかばんを肩にかけ、顧客の所を一日中回る。笑顔で名刺を渡す間も、頭痛と肩こりがみしみしと体を責め立てる。大阪府の営業職の女性(46)は40歳ごろから更年期の症状に悩むようになった。
 夫は単身赴任中。2013年はPTAの役員が当たった。12年が学童保育、その前は子ども会。これで3年連続だ。
 夕食は8時半を過ぎることも。それでもデパ地下のお惣菜はなるべく買わない。手料理を食べさせることをあきらめたら、生活が崩れそうで手が抜けない。子どもを叱っていると頭痛がどんどんひどくなる。頭がくらくらして、脳神経外科でCTをとってもらった。「ストレスじゃないですか」と医師に言われた。
 整骨院、鍼灸(しんきゅう)院、プラセンタ注射、月1回のリンパマッサージ。給料の多くが、疲れをとる費用として消える。「私、命を切り売りしているみたい」。ため息をつく。
 同期の男性が次々管理職に昇進するなか、自分は今でも平社員。疲れがひどく、子どもたちに八つ当たりしては自己嫌悪に陥る・・・

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