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朝日新聞社

激しい雨があなたを襲う 地下街で溺れる恐怖に備える

初出:2013年7月8日
WEB新書発売:2013年7月26日
朝日新聞

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 滝のように降り、傘は役に立たず、車の運転も危険――。1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」が降る頻度が急増している。特にヒートアイランド現象の影響が大きい都市部は、「ゲリラ豪雨」に見舞われることも珍しくなくなった。そして新たな脅威となっているのが、他国には見られない広大な地下街の存在。多くの人々が集まる商店街、鉄道、駐車場では、避難計画がまだない例も少なくない。幾多の風水害の経験を生かす取り組みは始まったばかりだ。

◇第1章 滝のような雨、3割増 過去30〜40年、今後も増加予測
◇第2章 風水害、新たな脅威
◇第3章 都市部を襲った主な風水害と台風の経路
◇第4章 地下、浸水対策手探り


第1章 滝のような雨、3割増 過去30〜40年、今後も増加予測

 1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」が降る頻度が、過去30〜40年で3割余り増え、今世紀末ごろには現在の1・65倍に上る恐れがあることが気象庁の分析でわかった。都心で突発的な「ゲリラ豪雨」が増えていることも判明。気象庁は近く公表する「気候変動監視レポート」で、風水害の危険について警鐘を鳴らす。
 分析では、全国の降水量観測点(アメダス)で1時間に50ミリ以上の雨を観測した年間回数を集計。観測点が年々増えていることを考慮し、1千地点あたりの数に計算し直して比較した。滝のように降り、傘が役に立たず、車の運転が危険になるような雨量だという。


 気象庁によると、1976〜85年は平均で年174・4回だったが、直近の10年は236・4回に。10年あたり21・9回のペースで増えていた。スーパーコンピューターを使った試算では、2076〜95年は年390回に達した。
 一方、傘下の気象研究所は、太陽熱をコンクリートの建物などがためこみ、気温を上げる「ヒートアイランド現象」の影響が顕著な夏の夕方から深夜にかけての雨量データを過去約120年分、調査。東京都心では、ゲリラ豪雨のような突発的な雨の量が100年間あたりで48%増えていた。大量に降る日と全く降らない日の二極化が進んでいるという。
 一般に気温が上がると、大気中に取り込んでいられる水蒸気量が増えるため、雨が激しくなりやすい。地球温暖化で、日本の年平均気温はこの100年間で1・15度上昇。東京都心を始めとした都市部は、ヒートアイランド現象でさらに1〜2度程度高く、ゲリラ豪雨につながる上昇気流も生まれやすいとされる。
 気象研究所の藤部文昭・環境・応用気象研究部長は「地球温暖化と都市化で今後、水害の危険はさらに増すだろう。東京都心だけの問題とみるのではなく、今後の広がりを注視する必要がある」と話す。


第2章 風水害、新たな脅威

 伊勢湾台風、枕崎台風、室戸台風――。日本では半世紀前まで、千人を超える犠牲者が出る風水害が繰り返されてきた。近年は治水や天気予報が発達し大きな水害は減ったが、新たな脅威にも直面している。地盤沈下による低地の増加、増える集中豪雨、拡大した地下街への浸水。気象災害にどう備えればいいのか。

◎高まる都市のリスク
 東京、大阪、名古屋の3大都市圏が最後に大規模に浸水する高潮に見舞われたのは20世紀の半ば以前だ。1959年の伊勢湾台風までは、58年の狩野川台風、53年の南紀豪雨、47年のカスリーン台風など千人以上が犠牲になる風水害が相次いだ。
 戦後、水害対策は充実したが、国土技術政策総合研究所の上総周平所長は「災害が減ったのは堤防や水門整備の効果もあるが、たまたま大きな台風の直撃を免れた幸運が大きい」と話す。
 この間、様々な機能の都市への集中が進み、3大都市圏の人口や国内総生産(GDP)は全国の半数を超える。地下水のくみ上げによる地盤沈下も進み、標高ゼロメートル地帯は577平方キロに広がり、そこに400万人が住んでいる。商店街や地下鉄など地下の利用も増え、水害に見舞われた場合の影響は拡大した。
 内閣府や国土交通省は大規模な水害の被害想定をしている。室戸や伊勢湾台風級の台風が最悪のコースで襲来した場合、東京湾岸では最大230万人が浸水被害を受け、死者は7600人。大阪湾岸では165万人が浸水被害、要避難者は102万人。伊勢湾岸では浸水域内に240万人、要避難者は57万人にのぼると予測している。
 近年は短時間の豪雨が増加したと指摘され、地球温暖化が進めば海面は上昇、台風は大型化すると懸念されている・・・

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