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朝日新聞社

私の中の男のコ、僕の乙女心 男装女子&女装男子が増えるワケ

初出:2013年7月24日〜8月10日
WEB新書発売:2013年8月23日
朝日新聞

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 「カッコよければ、全然アリ」。男装アイドルグループに夢中になる10代女子には屈託がない。それどころか、自らも男装を楽しむ女子も増えている。一方、そこまで無邪気にはなれず、社会からも受け入れられにくい女装男子は悩ましい。男女の境界があいまいになる中、同性愛指向でもなく、性同一性障害でもなく、純粋に異性の装いを楽しみながら、現実と妄想の世界を行ったり来たりする若者たちに迫る。

◇第1章 男装ってカッコいい
 [インタビュー]男装アイドル「試行錯誤」 プロデュースするはなわさん

◇第2章 「女」と分かってる、けど夢見てたい
 [インタビュー]「恋人や友だちのような聞き役」 男装店員、人気の秘密

◇第3章 ツボわかる女子にほめられたい

◇第4章 手本は韓流アイドル、日々研究
 [インタビュー]男装メークの極意知りたい ポイントは目元と眉

◇第5章 お母さん、ほんと、ひどい
 [コラム]「華やか」男装、「日陰者」の女装 寛容度に差、なぜ

◇第6章 かわいい弟キャラ、究めます
 [インタビュー]「妄想の王子様、自分たちに近い」 風男塾

◇第7章 私の中の男のコに会いたい
 [インタビュー]男装女子は何を目指す? 雑誌「KERA」編集長に聞く

◇第8章 男だって「かわいい系」が楽しい
 [インタビュー]男の娘はどこからきて、どこに向かうのか

◇第9章 乙女心がきゅんきゅんする時に
 [コラム]今どき女装は「かわいい」が鍵

◇第10章 女性服着て、自由を手にしたんだ
 [コラム]女装はなぜ難しいのか

◇第11章 男らしくなくていい「男の娘」が楽
 [インタビュー]女装はこれから、どこに向かう?

◇第12章 一人ひとり、違うと分かって
 [インタビュー]男装女装を許さない社会


第1章 男装ってカッコいい

 スポットライトを浴びた美少年アイドルたちが踊り、歌う。客席を埋める10代の女の子たちが、悲鳴にも似た声援を送る。
 よくあるライブ風景だ。ただ、ステージのアイドル8人は、いずれも男装した10〜20代の女性だ。
 13日、福岡市のライブハウスで、男装アイドルユニット「風男塾(ふだんじゅく)」の公演があった。2008年デビューの「彼ら」のファンは最近、中高生女子を中心に増えている。この日も観客の3分の2が女性で、地元の高校の制服姿の子もちらほら。
 「カッコいいからいいんです! 男装とか気になりません!」。熊本県合志市から来た高1の草野日菜子さん(15)は、風男塾のメンバーに会え、興奮気味だ。「だって、同級生にも男装する人いるし!」


 自ら男装して来た子もいた。地元の高3の津田千秋さん(17)もその一人。赤い短髪のウィッグの下に長い黒髪を隠している。ふだんから時々男装を楽しむという。風男塾を知る前から、男装には好印象をもっていた。男装した画像をツイッターに載せる女性をフォローし、「ふつうにカッコいいな」と思っていた。「カッコよければ、男装でも全然アリ」と話す。
 男装は、10代にとっては一部のマニアのものでも、「イタい」ものでもないようだ。
 10代向けのファッション誌「セブンティーン」(集英社)は、11年11月号で専属モデルの男装コンテストを企画。編集部の渡辺賢介さんは「予想以上に好評だった」という。読者投票で1位になった西内まりやさん(19)はその後、テレビのバラエティー番組にも男装で出演した。渡辺さんは「今の10代にはオタクが一般化し、コスプレに抵抗がない。男装も同じような遊び感覚ですんなり受け入れているようだ」と話す。
 「男装写メ」もブームだ。男に見えるように髪形や顔の角度を工夫して携帯電話で写真を撮り、友だちと見せ合う。


 7〜8年前に登場した「男装喫茶」でも10代の客が増えているという。男装した店員を男性に見立て、「男女の会話」を楽しむ店だ。東京・池袋の「80+1」は、客のほぼ半数が10代女性。店員10人はそれぞれ漫画やアニメの美少年をイメージした格好だ。
 本物の男じゃダメなのか――。10代女子たちは「リアルな男はヒゲとか汗とか、汚いもん」「男装は女だから、女が喜ぶ言動をよく知ってる」。
 漫画やアニメの美少年に思いを寄せてきた少女は以前からいた。男装の美少年は、いわば「実写化」。少女たちの妄想がつくり出した「理想の男」だ。ときに妄想と現実の境目があいまいになりがちな、10代ならではのブームかもしれない。



◎「男(おとこ)の娘(こ)」、最近は10代に
 女装する男子も顕在化している。「男の娘」と書いて「おとこのこ」と読む女装男子たちが話題になったのは2008年ごろ。20代が中心だが、最近は10代にも広がっている。
 「男の娘」の定義ははっきりしないが、「見た目は女性だけれど、中身は男性という美少年」に使われることが多い。「女装子(じょそこ)」「化粧男子」と呼ぶ場合もある。同性愛指向でもない、性同一性障害でもない存在なので、社会的に注目を浴びた。ただ、「男の娘」にも、いろんな性的指向の男性がいる。
 源流のひとつは、アニメや漫画。「見た目は女性の美少年」というキャラクターに憧れた男性たちの中で、コスプレ感覚で、キャラに似せた女装をする人が出てきた。
 最近では、女装するノウハウを紹介する雑誌や本も多数出版されている・・・

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