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朝日新聞社

食べ物は掃いて捨てるほどある 日本にはびこる食品ロスの真実

初出:2013年8月21日〜8月23日
WEB新書発売:2013年9月6日
朝日新聞

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 「3分の1ルール」という食品業界の慣習をご存じですか。「飽食の国」と言われて久しいこの国では、相変わらず平気で食べ物を無駄にするようなことがまかり通っているようです。安いから、お得だから、とたくさんの食料を買い込んで、結局捨ててしまったという経験はありませんか。でも、余りそうな食べ物は恵まれない立場の人に提供する、そもそも無駄な買い物はしない、そんな行動を実践している人たちも着実に増えています。世界でほめられた「もったいない」の精神を思い出してみませんか。

◇第1章 返品 まだ食べられるのに…
◇第2章 「もったいない」を生かす
◇第3章 家庭でも捨てない工夫


第1章 返品 まだ食べられるのに…

◎納期ルール見直しの動き
 倉庫の片隅に、段ボール100箱も200箱も積み上げられた菓子。新潟県の菓子メーカーでたびたび見られる光景だ。いずれも新品だし、賞味期限が切れたわけでもない。なのに、卸業者から返品されてきた。
 「3分の1ルール」と呼ばれる食品業界の慣習がある。1990年代に始まったとされ、小売店への納品期限と店頭に置く販売期限に、賞味期限の3分の1ずつを割り振っている。この納品期限までに納品できなかった商品がメーカーに返品されてくる。販売数量が見込みを下回って商品がだぶつき、期限までに納品できない場合などがあるという。賞味期限が残っていても、店に並ぶことはない。
 この菓子メーカーでは、賞味期限が残っているものは社員に販売する。ただ、返品に時間がかかり、賞味期限を過ぎる場合もある。商品は廃棄せざるを得ない。
 「作っている工場の人たちに、戻ってきた商品は見せたくない」と担当者は話す。取引先が遠く、返品の輸送コストが高くつく場合は、現地で廃棄することもあるという。


 卸からメーカーに返品される加工食品はメーカー出荷額ベースで年間1139億円。小売店、卸、メーカー43社からなる「製・配・販連携協議会」の推計だ。返品の理由は「納品期限切れ」が3割以上を占める。新商品の発売などで店頭から撤去される「定番カット」も3割以上だ。
 このほか、3分の1ルールで定める販売期限が切れたなどの理由で小売店から卸に返品される商品も417億円にのぼる。
 16社が参加する「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」による別の調査では、メーカーに返品された商品の74%が廃棄され、ディスカウント店など他の販路への転売は16%だった・・・

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