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社会・メディア
朝日新聞社

ネット蟻地獄 子どもを蝕むスマホ・オンラインゲーム依存の罠

初出:2013年9月12日〜14日
WEB新書発売:2013年9月27日
朝日新聞

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 スマホやオンラインゲームの普及で、子どもとインターネットとの距離は急速に縮まっている。厚生労働省研究班の調査によると、「ネット依存」の疑いの強い中高生は全国に約52万人いるという。「依存の疑いが強い」とされた割合は中学生の6%、高校生の9%で、中高生全体では8%だった。「ネット依存」はどこまで広がっているのか。どうやって抜け出せばいいのか。親の知らない深刻な現状を報告する。

◇第1章 夢中…知らぬ間に20時間
◇第2章 家族の支え、治療へ一歩
◇第3章 親、どう関われば 識者2人に聞く


第1章 夢中…知らぬ間に20時間

 横浜市の大学に通う男性(18)は中1の時、親から古いノートパソコンをもらった。自室でネットを見るようになり、次第にその時間が延びていった。
 はまったのは、もらったパソコンで遊ぶオンラインゲーム。時間をかけるとレベルが上がり、強い敵を倒せるようになった。中2のころには多いと連日20時間、寝る以外はゲームという生活になった。部屋にこもり、風呂にも入らない。昼夜は逆転し、曜日の感覚もなくなった。
 もともと大人数と接するのが苦手で、小学校から不登校だった。マンガも読み飽き、「手っ取り早く、逃げやすかったのがネットだった」。ゲームをしていれば、学校のことを考えずにすんだ。
 一度、親からパソコンを取り上げられた。だが、やることがなくなっただけで、学校には行かなかった。しばらくすると、親はパソコンを返してくれた。
 中2の秋、母が医師に相談。今の生活から抜け出せるよう、「極度の肥満による体調不良」を理由に、男性を半ば強引に小児科に入院させた。自分でも「今のままじゃダメだ」との思いがあった。
 病院の院内学級に通い、毎日規則正しい生活を送るよう指導された。リハビリの一環で、自転車に乗るなど体も動かした。中学卒業まで院内学級で学び、小学校の勉強からやり直した。その後、高校に進学。友人もでき、放課後は遊ぶようになり、自然とゲームをする時間はなくなった。
 入院という形で生活環境が変わったことで、依存から脱却できた。男性は「自分だけで抜け出すのは難しかった。周囲のサポートが欠かせないと思う」と話す。

◎触れてないとイライラ、要注意
 日本を含め、ネット依存症の世界的な診断基準はまだ確立されていない。が、米精神医学会などで病気と認定する方向で研究が進んでいる。では、依存状態にある人と、「ヘビーユーザー」とでは、どう違うのか?
 全国でも数少ない専門外来がある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の中山秀紀医師は「ネットに接する時間の長さだけで判断できない。ネットに触れられないとイライラし、我慢できない、といった状態ならば依存性が高いと考えられる。日常生活に影響が出ているかどうかもひとつの目安」と話す。
 例えば、仕事でメールやネットを頻繁に使っていると、メールが見られないと気にかかる。だが、休暇でメールを見なくていいと、気持ちがせいせいする。こんな場合、ネット依存状態とは言わない。
 深刻になると・・・

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