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朝日新聞社

ロボットカーはいつできる? グーグル、トヨタ、日産が向かう自動運転の未来

初出:朝日新聞2013年10月16日〜10月21日
WEB新書発売:2013年11月1日
朝日新聞

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 ハンドルやブレーキに触れなくても、車が自動的に目的地まで走ってくれる。そんな未来の車の開発が進んでいる。2013年10月15〜18日に開催されたITS(高度道路交通システム)世界会議では、国内外のメーカーが自動運転技術を載せた車を実際に動かして見せた。IT大手の米グーグルは、地図データを活用して、2017年までに運転手なしで走る車を実用化させる目標。日産は、カメラやセンサーなどを使って、他の車や歩行者との衝突を避ける技術を開発中で、2020年までの市販化を目指す。トヨタは、時速60〜70キロでも作動可能で、障害物をさけるため、ハンドルを自動操作する衝突回避システムを2015年以降、市場に投入する。にわかに盛り上がった自動操縦技術の世界を深堀りする。

◇第1章 未来の車、すぐそこ
◇第2章 自動運転、ぶつからない
◇第3章 ビッグデータ、商機


第1章 未来の車、すぐそこ

◎各社、実用化へ開発競争
 2013年10月15日に一般公開が始まったITS(高度道路交通システム)世界会議の会場では、国内外のメーカーが自動運転技術を載せた車を実際に動かして見せている。
 ホンダの車は、駐車場に設置した四つのカメラの画像データを使って、自動で駐車する。運転手が駐車場で車を乗り捨てると、無人の車は空いているスペースを探し出し、自分でハンドルを切って駐車した。
 メーカーは、カメラやセンサーなどを使って、車や歩行者との衝突を避ける技術を開発してきた。「周囲の状況を把握する点ではほぼ完成している」(日産自動車)というが、実際に公道を走ると、飛び出しなど、人間でさえ戸惑う想定外のことが起こる。自動運転車を実現するには、より多くの情報を使いこなし、判断する力を高めなければならない。日産は、判断力を高めて2020年までの市販化を目指す。


 IT大手の米グーグルも、地図データを活用して、17年までに運転手なしで走る車を実用化させるのが目標だ。
 車とスマートフォンや端末を持つ歩行者の間や、車同士で無線通信をしてお互いの位置を知り、事故を避ける技術開発も進んでいる。従来の安全技術では防げない、物陰から飛び出す歩行者との出合い頭の事故も防げる。「ITと絡んだ自動運転の技術開発のスピードは格段に早い」(経済産業省幹部)。

◎ルールはこれから
 日産やグーグルが実用化の時期を具体的に掲げたことで、自動運転車が急に社会の注目を集め始めた。自動運転が実現すると、事故が大幅に減るとされる。多くの事故は運転手の判断や操作の誤りに起因するためだ。渋滞が減ったり、高齢者や障害者らの負担が減ったりする効果も見込める。まさに夢の技術だ。
 だが、実現には障害もある。国内の法令だ。「人が運転の主体」が前提で、ドライバーがハンドルなどに触れない公道での自動運転は違法となる。どう緩和するか警察庁や国土交通省、経済産業省などで議論を始めたばかりだ。手放し運転中に事故が起きたら、法的責任を持つのは運転手なのかメーカーなのか、という問題も新たに起こる。
 道路工事などの情報を、車に伝えるようなインフラも必要だ。車や歩行者との無線通信も、通信できる車が普及しなければ成立しない。価格をどれだけ下げられるかも課題だ。
 メーカーの担当者らを交えた国交省の検討会は10月、20年代初めの段階では、自動運転は「渋滞していない高速道路に限って」実現する、との中間報告をまとめた。
 運転を「楽しむ」という文化も、車にはある。トヨタ自動車の豊田章男社長は「車を運転する自由を失うことなく、より快適性、安全性に向けた議論を」と話している。



□ITS世界会議
 交通事故や渋滞などの問題を解決する最新技術について、産官学の関係者らが議論したり、技術を披露したりする国際会議。約60カ国が参加し、毎年開かれている。日本開催は9年ぶり。今回は、自動運転技術が注目されており、来場者が体験できるコーナーもある。東京ビッグサイト(東京都江東区)などで、2013年10月18日まで。16日は台風接近のため、一部企画が中止になった。


第2章 自動運転、ぶつからない

 いま、自動車業界で注目が集まっている「衝突回避システム」。トヨタ自動車の開発した最新システムをこのほど試乗体験した。
 車は時速70キロ弱で、直進していた。数十メートル先に目をやると、歩行者に見立てた人形が飛び出してきた。
 「危ない・・・

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ロボットカーはいつできる? グーグル、トヨタ、日産が向かう自動運転の未来
216円(税込)

ハンドルやブレーキに触れなくても、車が自動的に目的地まで走ってくれる。そんな未来の車の開発が進んでいる。2013年10月15〜18日に開催されたITS(高度道路交通システム)世界会議では、国内外のメーカーが自動運転技術を載せた車を実際に動かして見せた。IT大手の米グーグルは、地図データを活用して、2017年までに運転手なしで走る車を実用化させる目標。日産は、カメラやセンサーなどを使って、他の車や歩行者との衝突を避ける技術を開発中で、2020年までの市販化を目指す。トヨタは、時速60〜70キロでも作動可能で、障害物をさけるため、ハンドルを自動操作する衝突回避システムを2015年以降、市場に投入する。にわかに盛り上がった自動操縦技術の世界を深堀りする。[掲載]朝日新聞(2013年10月16日〜10月21日、5600字)

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