【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

教育・子育て
朝日新聞社

ゲーム機があるのが当たり前 後戻りできない時代の大人たちの葛藤

初出:2013年11月6日〜11月9日
WEB新書発売:2013年11月22日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 「かくれんぼ」ができない子どもが増えているそうです。子どもの遊びはアナログからデジタルに移り、デジタル化を批判するだけの時代は終わったと言われます。デジタルネーティブが親世代となり、デジタル機器があるのが当たり前という環境からは、もはや逃れることは難しい。でも、そのままでいいはずもありません。危機感を持ち、行動する大人たちもいます。子どもたちのために本当にしなければならないことは何なのでしょうか。

◇第1章 小さな指でピコッ
◇第2章 水たまり、入っちゃおうよ
◇第3章 友達と遊ぶ時間がないよ
◇第4章 着せ替え人形より「アイカツ!」


第1章 小さな指でピコッ

 2013年10月28日、名古屋市千種区の住宅街。台風が過ぎ去り、よく晴れた昼下がりの公園に、子どもたちの歓声が響いていた。
 集まっていたのは6歳くらいまでの約30人。ボールを投げたり、滑車でロープを滑ったり、木の実を拾ったり。思い思いに遊びながら、時々、木陰にいる母親のもとに駆け寄ってくる。日常的な公園の光景だ。
 後藤正樹君(3)は、水筒のお茶を飲み、お菓子を食べた後、広場には向かわずに、母親の景子さん(32)のスマートフォンに手を伸ばした。右手の人さし指で器用に画面をスライドさせてアプリを起動させると、ゲームを始めた。
 英単語のつづりを間違いなくたどる無料ゲームだ。アルファベットを選ぶたびに鳴る「ピコッ」という音につられて、弟の弘樹君(1)も横から画面をのぞき込んだ。それから5分ほど、2人そろってゲームに夢中になっていた。


 景子さんに促されて、正樹君は広場へ戻って行ったが、公園内には、他にもあちこちでスマートフォンや「ニンテンドーDS」などの携帯ゲーム機で遊ぶ子どもの姿があった。
 「見慣れてしまった光景。これでいいのかなと悩むけれど、これからの時代に避けて通れないもの。うまく付き合いたいです」と景子さんは話す。
 弘樹君は1歳になる頃にはもう、スマホの画面を指でスライドさせていたという。「教えていないのに、いつの間にかできるようになっていてびっくり。自宅のテレビも動くと思っているのか、画面を触っていることがある」と言う。
 話を聞いていたママ友の川原貴子さん(42)がうなずいた。傍らで木の実を拾う長女の梨子ちゃん(4)を見て、「小学4年の長男が幼かった頃と比べても、より早い段階からデジタルに触れるようになっていると感じます」と話した。「親同士も(通信アプリの)LINE(ライン)でやりとりするようになるなど周囲の環境が大きく変わった」
 同じような光景は11月3日、京都市の市民スポーツフェスティバルがあった西京極陸上競技場のスタンドでもあった。小学4年の井上佳奈美さん(10)は友人とDSを楽しんでいた。母親の美穂さん(39)は「ゲームがあるのが当たり前なんです。仕事が忙しくて構ってやれないときにゲームがあると助かるな、と思ってしまう・・・

このページのトップに戻る