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経済・雇用
朝日新聞社

疑惑の札束 世界の金融首都・シティーの内側で何が起きているのか

初出:2013年11月20日〜11月23日
WEB新書発売:2013年12月6日
朝日新聞

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 ロンドン中心部に位置し、世界の37%を占める為替取引が行われる世界最大の金融センター・「シティー・オブ・ロンドン」、通称「シティ」は、1世紀にローマ人が築いたのが始まりとされ、イングランド銀行やロンドン証券取引所、そして周辺地区も合わせて500もの民間金融機関がひしめくロンドン市内の自治区だ。米ウォール街と並び称される金融の中心地だが、2012年にはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作事件の発覚があり、それ以外にもケイマン諸島、バージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)関連の取引など、その実態には、常に「不正」の影がつきまとう。現地取材を元に、ほとんど知られていないその内側を覗くルポ。

◇第1章 また疑惑、巨大金融ムラ 甘い規制、温床に
◇第2章 EUとの溝拡大、地盤沈下も
◇第3章 投資マネー流入、バブルの芽
◇第4章 歴史と格式が生む聖域


第1章 また疑惑、巨大金融ムラ 甘い規制、温床に

 ロンドン時間の午後4時前。きまって30秒ぐらい前から、ドルやユーロが急激に上下する。4時を30秒ほど過ぎると、すぐに元の水準に戻ってしまう――。
 「複数の金融機関が申し合わせて、指標を操作している」。不自然な値動きを続けた外国為替の指標「WM/ロイター」に、そんな疑惑が浮上している。
 為替市場で動くお金は1日に500兆円超。ファンドが資産残高を試算するときなどに使われるこの指標は、午後4時時点のレートをもとに算出する。水準が少し上がれば、資産規模も膨らむ。
 複数の大手銀行のディーラーが「チャット」でやりとりしていた疑いもあり、英金融行動監視機構(FCA)は2013年10月、不正操作の疑いで調べていることを明らかにした。
 米国やスイスなどの金融当局も調査に乗り出し、英バークレイズやHSBC、スイスのUBS、米JPモルガン・チェース、シティグループなど欧米の大手15行以上が調査を受けていると報じられた。
 指標の不正操作、業界ぐるみ、大手金融機関の関与。この構図は、12年発覚したロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作事件と、うりふたつだ。
 LIBOR不正操作では5500万ポンド(約88億円)の罰金処分を受けた世界最大の金融仲介会社ICAPが、与党・保守党に多額の献金をしていたことが発覚。政界にも飛び火した。
 保守党議員のマーク・フィールドは「ICAPは透明性のあるプロセスをへて、罰金処分を受けた。ICAPにも党にも長期的な打撃にはならない」と火消しに躍起だ。
 その矢先、新たに浮上した不正操作疑惑。世界最大の金融センターで、なぜスキャンダルが相次ぐのか・・・

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