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朝日新聞社

下町ボブスレー2号機、敗れる 「五輪で国産ソリ」の苦闘と葛藤

初出:朝日新聞2013年12月4日〜12月12日
WEB新書発売:2014年1月10日
朝日新聞

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 東京都大田区の町工場が集まり、来年のソチ五輪で使うボブスレーのソリを作る――。注目を集めたプロジェクトだったが、残念ながら採用には至らなかった。だが、参加する町工場の士気は衰えず、すでに次作機の製作も進んでいる。プロジェクト推進委員会と競技現場とのコミュニケーション不足など課題はある一方、競技関係者からは国産ソリを望む声もある。「氷上のF1」と呼ばれるマイナー競技が続ける静かな挑戦をたどる。

◇第1章 ソチめざした下町のソリ
◇第2章 最高のソリは下町にある
◇第3章 ルールブックは読むな
◇第4章 精度はそんなに気にするな
◇第5章 いいパートナーになれるはず


第1章 ソチめざした下町のソリ

 1988年の冬季五輪開催地を思い出せない人でも、ジャマイカの「レゲエボーイズ」がボブスレーに挑戦した話は覚えているかもしれない。途中転倒で失格したが、握手を求める観客に応えながらソリとともにゴールまで歩いた。カナダ・カルガリーにある五輪公園のソリ専用トラックがその舞台だった。
 東京都大田区の町工場が集まる下町ボブスレープロジェクトが作った2人乗りの「下町ボブスレー2号機」が、2013年10月29日から11月6日にかけて、そのトラックで試走を重ねた。
 ボブスレーは「氷上のF1」といわれる。風防で覆われた鉄製のソリは時速120キロ以上で滑り、1200〜1650メートルのコースを一流選手は1分未満でゴールする。
 14日に北米杯シリーズ第1戦が控えていた。順位によってポイントが与えられ、五輪出場権に結びつく。プロジェクトの目標は日本代表を乗せてソチ五輪に出ること。72年札幌大会から11大会連続で冬季五輪に出ているボブスレー日本代表だが、国産ソリでの出場はまだない。
 試走1日目、パイロットの鈴木寛(39)は、1500メートルあるトラックの脇を1時間ほどかけて歩いた。時々立ち止まり、コーナーの形状をイメージしながら体を左右に傾けたり回転させたり。踊るようにソリの操り方を覚えていた。
 操縦は2本のワイヤを引いて行う。手の動きは大きくても親指の長さほどだが、実は全身運動であることが鈴木の練習からもわかる。重力の4倍以上の遠心力がかかり、練習滑走でも1日4本が限界だという・・・

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下町ボブスレー2号機、敗れる 「五輪で国産ソリ」の苦闘と葛藤
216円(税込)

東京都大田区の町工場が集まり、来年のソチ五輪で使うボブスレーのソリを作る――。注目を集めたプロジェクトだったが、残念ながら採用には至らなかった。だが、参加する町工場の士気は衰えず、すでに次作機の製作も進んでいる。プロジェクト推進委員会と競技現場とのコミュニケーション不足など課題はある一方、競技関係者からは国産ソリを望む声もある。「氷上のF1」と呼ばれるマイナー競技が続ける静かな挑戦をたどる。[掲載]朝日新聞(2013年12月4日〜12月12日、6100字)

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