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朝日新聞社

そして、犯人は、逃げ切った 未解決事件の謎が生む解明への情熱

初出:朝日新聞2009年5月30日、11月14日、2013年6月22日
WEB新書発売:2014年1月10日
朝日新聞

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 いったい、誰が、何のために……。謎が多ければ多い事件ほど、人は真実を知りたくなってしまう。轢死遺体で見つかった国鉄総裁の最期を知る人、鮮やかに3億円を奪い去った偽警察官、そしてあまりにも有名になってしまった「キツネ目の男」。彼らはいま、どこでどう過ごしているのか。あるいは、そもそも本当に存在していたのか。「事実は小説より奇なり」を体現するかのような、そんな昭和の未解決事件を再び訪れて見えたものとは。(年齢、肩書は掲載時のものです)

◇〈昭和24年7月5日〉下山事件/国鉄総裁の死、黒い霧の残像
◇〈昭和43年12月10日〉3億円事件/白バイ男、いまだ正体不明
◇〈昭和59年3月18日〉グリコ・森永事件/「劇場犯罪」の風化を拒む


〈昭和24年7月5日〉下山事件/国鉄総裁の死、黒い霧の残像

 電車の刻むレール音が上から降ってくる。東京都足立区西綾瀬のJR常磐線高架沿いの道路から、レールは金網の柵と遮音壁に遮られ、近づくことも望むこともできない。
 1949(昭和24)年7月5日朝、東京・日本橋の三越本店に入ったあと、行方が分からなくなっていた国鉄の下山定則総裁(当時49)が翌6日未明、この場所で、バラバラになった轢死遺体(れきしいたい)でみつかった。当時は柵や壁がなく、周りは田んぼや湿地だった。



 この年、国鉄は運輸省から分離、公共企業体への移行に伴って9万5000人の解雇が計画され、大屋晋三運輸相や下山総裁らが事件直前の7月1日、国労に通告。国労中央執行委員だった斎藤喜作さん(89)は通告をおこなう大屋運輸相の隣で鉛筆を2本握りうつむく総裁の姿を鮮明に記憶する。「追い込まれ、深刻に考えている様子でした」
 不明になる前日の4日、国鉄は第1次3万700人の解雇を発表。斎藤さんは「撤回を求めるストを計画したが、衝撃的な総裁の死によって、世間の耳目は国労組合員に集まり、ストを決行する意志は打ち砕かれた」とふり返る。
 下山総裁の死は、他殺か、自殺か・・・

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そして、犯人は、逃げ切った 未解決事件の謎が生む解明への情熱
216円(税込)

いったい、誰が、何のために……。謎が多ければ多い事件ほど、人は真実を知りたくなってしまう。轢死遺体で見つかった国鉄総裁の最期を知る人、鮮やかに3億円を奪い去った偽警察官、そしてあまりにも有名になってしまった「キツネ目の男」。彼らはいま、どこでどう過ごしているのか。あるいは、そもそも本当に存在していたのか。「事実は小説より奇なり」を体現するかのような、そんな昭和の未解決事件を再び訪れて見えたものとは。(年齢、肩書は掲載時のものです)[掲載]朝日新聞(2009年5月30日、11月14日、2013年6月22日、7100字)

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