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朝日新聞社

就活、絶望するには早すぎる 本当のシアワセの見つけ方

初出:2013年12月6日〜2014年1月17日
WEB新書発売:2014年1月31日
朝日新聞

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 大学3年生らの就職活動が始まっている。景気の良し悪しで楽だったり苦しかったり、時代による違いはあるかもしれない。でも、社会への入り口段階の就活で、若者が人生と向き合ってもがき、大いに悩むことに変わりはない。「大手か中小か」から「そもそも働く意味って?」まで、いつの時代も問われる就活との向き合い方って? 識者たちが、そのヒントをおくります。就活するキミへ、そして、大切な子どもの就活を心配する親のアナタへ。

◇第1章 幸せな働き方考え、中小に目を向けよ/雇用ジャーナリスト 海老原嗣生さん
◇第2章 社会人と話して生の情報集めよう/就職・採用コンサルタント 田辺拓也さん
◇第3章 働く母たちに接し、将来を想像する/共働き家庭インターン会社社長 堀江敦子さん
◇第4章 分析に縛られずに、自分の良さを確認/精神科医 香山リカさん
◇第5章 目標掲げ欲を持ち、仕事に打ち込もう/元東レ経営研究所社長 佐々木常夫さん
◇第6章 昔と違う就職事情、親は理解し応援を/人材コンサルタント 常見陽平さん


第1章 幸せな働き方考え、中小に目を向けよ/雇用ジャーナリスト 海老原嗣生さん

 大学3年生らの就職活動が解禁された。就活にどう向きあうべきか、雇用ジャーナリストの海老原嗣生さん(49)に聞いた。テーマは「普通の就活」だ。

 ――有名大企業でなく、普通の中堅・中小企業への就活をすすめていますね。

 「統計をみれば分かるが、従業員数1千人超の大企業に勤める正社員は、世の中の正社員の3割しかいない。世間の圧倒的多数は中堅・中小で働いている。就活にしても中堅・中小の方が就業チャンスが多い」

 ――とはいえ、大半の就活生はまず大手から手をつけます。

 「就活生に『大手を受けずに、中堅・中小にしなさい』と言っても誰も納得しない。自分で受けて落ちる体験を何回か繰り返さないと、大手に入るのは難しいという相場観が身につかない。大手に落ち続けたとしても、それは社会勉強だと考え、『内定が出るならどこでもいい』と焦らないでほしい」

 ――中堅・中小を選ぶよさは何ですか。

 「経済産業省が表彰するような優良な中堅・中小は別だが、普通の企業は大手より採用基準が下がる。『海外転勤の可能性のない地元企業で働きたい』『ストレスになる飛び込み営業はしたくない』といった希望も、中堅・中小なら探せば見つかる。学歴だけをみて説明会に呼ばないといった、ぞんざいな扱いを受けることも少ない。中堅・中小はいつでも人材不足に悩んでいる。4年生の後半でも新卒ハローワークや大学の就職相談窓口に行けば、求人はたくさんある」

 ――大企業と中堅・中小では所得の差があります。

 「大手の50〜54歳の大卒男性の平均年収は約1千万円。確かに、中堅・中小より200万〜400万円高い。でも、考えて欲しい。給与が多いと、税金や社会保険料の負担が増える。大手の多くが本社を置く東京駅周辺に勤めると、毎日の通勤で平均2時間費やすうえ、昼食代などの生活費が高くなりがち。就活生が憧れる東証1部上場企業で、部長まで出世した人を対象にした調査でも、片道1時間以内の通勤圏に戸建ての自宅を持つ人は2割以下というデータもある」

 ――会社の規模で、働く人の幸せは決まらないと。

 「その通り。京都のある和菓子屋さんで、一日中あんこをこねる仕事に就いた学生がいる。きちんと作業していれば、テレビを見ながらでも、同僚とおしゃべりしていてもよく、ストレスも残業もない。給与は高くはないけど、夫婦共働きなら、普通の暮らしができる。この学生にとって、和菓子屋さんは、『割れ鍋にとじぶた』だった」

 ――中堅・中小は就活生が得られる情報が少なく、「ブラック企業」ではと、ためらう人もいます。

 「不安なら、職場見学するなり、飲み会に加えてもらうなりして、雰囲気を確かめてはどうか。日本では、同じ職場で働く同僚の人柄や企業の風土・文化が自分と合うかどうかが、仕事に就くうえでは重要だ。それには、会社の人に会って話してみるしかない。もし、相手が難癖をつけて断ったり、生意気なことを言うなといった態度で接してきたりするのであれば、やましい理由があるから。そんな時は、別の就職先を探した方がいい・・・

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