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朝日新聞社

背信の鉄路 不祥事にあえぐJR北海道はいつ再生するのか?

初出:2014年1月22日〜27日
WEB新書発売:2014年2月7日
朝日新聞

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 2013年に相次いで発覚した特急出火事故や貨物列車の脱線事故。その後発覚したレール異常の放置、数々の検査データの改ざんなど、不祥事の止まらないJR北海道。業を煮やした国土交通省は事業改善命令に加え、安全部門トップの解任命令まで出した。しかし、国交省によれば、約3カ月続いた特別保安検査は、現場社員のウソとの戦いだったという。野島誠社長は2014年年頭の挨拶で、「平成26年は実行する年といたしましょう」と訴えたが、変化の兆しはどこにあるのか? 失われた信頼回復への道筋をさぐるルポ。

◇序章 止まらぬ不祥事に強権 国、JR北・安全部門トップに解任命令
◇第1章 意味なさぬ「二重点検」 社員のモラル改善カギ
◇第2章 人手不足、壊した「安全」 要員補充阻む予算の壁
◇第3章 現場と連携、決め手まだ 「実行の年」強調すれど


序章 止まらぬ不祥事に強権 国、JR北・安全部門トップに解任命令

◎経営陣全般 意識改革促す
 解任命令が出された安全統括管理者は、2006年の鉄道事業法改正で、鉄道会社の安全部門トップとして選任しておくことが義務づけられたポスト。JR北海道では、常務取締役の豊田誠・鉄道事業本部長が務めている。
 もともとこのポストは、05年にJR西日本の福知山線での事故を教訓に、事業者に安全を最優先させるよう会社全体で意識させるためにできた。国交省によると、各鉄道会社では、一般的には経営トップに近い取締役が安全統括管理者の任についており、輸送現場の声や問題点を経営面に反映させることが求められている。
 しかし、豊田本部長が13年6月に就任すると同時に、JR北の大きなトラブルが次々と起きた。7月に函館線などで特急の出火事故が続き、9月には函館線での貨物列車の脱線事故を機にレール異常の放置が発覚した。国の指示で再調査した結果、放置箇所は大幅に増えて270カ所になり、調査結果への信頼性や豊田本部長の管理能力が社内外から疑問視され始めた。
 国交省は10月から、安全統括管理者である豊田本部長自らが、朝の始発前に安全点検を自ら実施するよう指示した。豊田本部長は部下から毎朝午前5時すぎには報告を受け、北海道運輸局にも毎朝、報告させられていたが、11月には、外部の指摘で改ざん問題が発覚。さらに12月には、脱線事故直後に点検数値が改ざんされた問題が、社員が偶然改ざん前のファイルを発見するかたちで発覚した。
 鉄道事業法で国交相は、安全統括管理者が職務を怠った場合は、事業者に同管理者を解任するよう命じられるとされる。国交省によると、同社内では安全推進委員会の機能が弱かったにもかかわらず、運用が見直されなかったため、経営陣全般に意識を変えさせるために解任命令が出たという。JR北海道全体での日頃の管理の甘さを指摘する形で、豊田本部長の安全統括管理者が解かれたかたちだ。
 同社では、歴代鉄道事業本部長が安全統括管理者を務めている。前任だった野島誠社長は「解任命令については、大変厳しい内容だが、これから検討したい。足りない点があれば補う」と述べた。豊田本部長は「コメントはございません。日々の安全確認に努めたい」と語った。




◎「鉄道の安全、再構築する」 〈社長会見〉
 ――中島社長の遺書に「お客様の安全を最優先に考える社員になって頂きたい」という言葉があった

 「石勝線の脱線事故後の2011年9月に中島社長が亡くなり、遺書の言葉を胸に刻んで認識してきたつもりできたが、実態をみると、反省すべき点が多々ある。中島社長の言葉が全社員に行き渡っていなかった」

 ――改ざんした社員は、何を守るためにやったと考えるか・・・

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