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教育・子育て
朝日新聞社

「1人1台」は革命か無駄か PC・タブレットが教育にもたらすもの

初出:2013年12月22日〜2014年1月22日
WEB新書発売:2014年2月7日
朝日新聞

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 教育現場でパソコンやタブレット端末を1人1台配る政策が、世界各国に広がっている。インターネットなどを活用することで、国や地域にある学習環境の格差是正に期待がかかる一方、巨額な経費がかかることから費用対効果を疑問視する声もある。日本も例外ではなく、国が2010年代中に推進する方針で、先行的に取り組む自治体も出てきている。ただ、それによって何を目指すのか、社会的合意はできていないのが実情だ。

◇第1章 ルワンダ、未来託すPC 広がる「子どもに1人1台」
◇第2章 子どもにPC1人1台、企業躍る
◇第3章 PC1人1台、光と影 教育への導入、各国模索


第1章 ルワンダ、未来託すPC 広がる「子どもに1人1台」

 未舗装の脇道に入ると、土造りの民家もまばらな農村が広がる。
 東アフリカの人口約1千万人の小国、ルワンダ。首都キガリから車で約1時間半。カマバレ小中統合学校の古びた平屋建ての校舎が見えた。



◎電気不通でも太陽光で発電
 校舎の脇に真っ青なコンテナ。電気が通っていない地域なのに中は明るく、冷房もきいている。ノート型パソコン(PC)やプリンター、電子黒板もあった。「インターネットも整備され、子供が見たこともない乗り物や動植物を教えられる」。バージニー・ムカガテテ校長は声を弾ませる。
 韓国・サムスン電子が開発し、ルワンダ政府の要請を受けて無償提供したコンテナ教室の第1号だ。屋根の太陽光パネルで発電。PCは今は15台だけだが今後コンテナを増やし、1人1台の配備を目指すという。
 同国政府が小中学生にPCを配る「1人1台」政策を打ち出したのは2008年。都市部では授業での活用も広がる。キガリ旧市街のギテガ小学校では児童1520人のうち、高学年804人に無料で配られた。
PCには計算問題や英語教材などが内蔵され、授業や宿題で使うという。



◎大虐殺を反省、教育充実に力
 この国では1994年、多数派部族が少数派を襲う民族大虐殺が起き、約100万人が犠牲になった。無教養が差別を助長したという反省から、義務教育を充実させる必要に迫られた。さらに人材育成に力を入れようと、政府は00年、金融や情報通信など知識集約型の経済への転換を目指す計画を作る。
 カガメ大統領が目をつけたのが「1人1台」。米NPOが販売する子供用の格安品を知り、1台あたり200米ドル(約2万円)、計約4200万ドルを投じて5年間で20万台以上を配布。200校で無線LANやサーバーも整備した。
 教育省のプロジェクトリーダー、ヌクビト・バクラムツァ氏は「PCがあれば教師や教材がなくても勉強できる。ルワンダはICT(情報通信技術)立国になる」。近く、同様の格安PCの生産を国内メーカーで始め、アフリカ各国に輸出する計画もある。
 世界銀行のICT教育専門家ミシェル・トルカノ氏によると、PCやタブレット端末の「1人1台」は00年代後半から広まり、20カ国以上が着手。「急速に増えすぎて誰も全体を把握しきれない」のが実情だ。「ICT活用力の育成、学力向上、産業育成など各国の思惑が企業側の利益と一致した。国民へのパフォーマンスになるので政治家の人気も高い」という。
 世界に広がる「1人1台」の現場を、さらに見てみる・・・

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