教育・子育て
朝日新聞社

聖光学院高校・青春スクロール オフコースを生んだ文化祭

2014年03月28日
(9600文字)
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 キリスト教教育修士会を設立母体として、その精神に基づく教育を理念に掲げる聖光学院高校。屈指の進学校の卒業生たちが「思い出」に挙げるのが、毎年1万人以上が集まる文化祭「聖光祭」。1965年、その聖光祭で講堂の超満員の生徒たちを魅了したのが、小田和正ら4人組の演奏だった。開校時から、「いい学校にしよう」と教師と生徒が積み重ねて形作り、様々な分野で活躍する異能なOBたちを生み出した青春の舞台を巡る。

◇第1章 オフコースは聖光祭から生まれた
◇第2章 宇宙飛行士が誕生/忘れられぬ胴上げ
◇第3章 英語教育に力/多くのOB海外で活躍
◇第4章 聖光祭中止…ユニークな人材多数
◇第5章 医師の土台、聖光で/恩師の薦め道開く
◇第6章 「自由」求め新聞部/寄り道しカレー
◇第7章 8ミリ映画作りに没頭/ミスター聖光祭
◇第8章 とてつもなく勉強/小田和正に憧れ
◇第9章 外国に臆せぬ気質/多分野で威風堂々


第1章 オフコースは聖光祭から生まれた

 聖光学院(横浜市中区)は、中学が1958年、高校は61年に開校した。キリスト教精神に基づく教育を理念に掲げる中高一貫の私学。屈指の進学校だ。
 65年秋、聖光祭閉会間際。当時高校3年生の小田和正(66、1966年卒)、須藤尊史(65、66年卒)、地主(じぬし)道夫(65、66年卒)、鈴木康博(65、66年卒)によるここでの演奏が、「さよなら」などのヒット曲で知られるオフコースへとつながっていく。


 中学で野球部に入った小田は、当初は外野だったが肩を壊して内野へ。出来たばかりの学校のグラウンドは石ころだらけ。「どこに転がるかわからないからゴロは苦手だった」。高校に進んだ頃、モダンフォークに目覚めた。二学年上の兄の影響でピーター・ポール&マリーの曲を聞き、「自分でギターを弾いて歌えるんだ」と知る。


 聖光祭を目指すきっかけは64年。ゴスペルを歌う先輩を見て「すごくかっこいい。これを俺たちがやるんだ」と小田は誓った。「そこが原点だった」。練習は体育館裏の階段の踊り場など。帰り道、小田と2人で歌ったのが、鈴木の思い出だ。「磯子から屏風浦駅まで、ビートルズの曲をハモっていたなあ」


 聖光祭は当時2日間。演奏は初日の午前中のみ。観客はまばらだった。しかし、その演奏を聴いた教師のトマス・トランブレが閉会前に特別に時間を作った。講堂は超満員。4人はブラザーズ・フォーの曲などを約30分歌った。4人のハーモニーが響く。演奏終了と同時に割れるような拍手。地主は「皆聞いたことがないとびっくりしたようだった」。須藤も「客席は暗かったが、すごい歓声だった」と振り返る。


 小田と鈴木は音楽の道に。地主は建築設計分野に進み、竹中工務店を経て設計事務所を経営、母校の校舎新築に関わる。須藤は昭和シェル石油退職後、ヨットで世界一周した。
 4人と同級生で、千葉県柏市でクリニックを営む医師町俊夫(66、66年卒)は、この時の聖光祭で照明を担当。「盛り上がって、誇らしかった」。元全日空機長高島洋(65、66年卒)。卒業後も付き合いが続く。一番の思い出は03年10月の香港行きフライト。小田がアジアツアーに向かう便で、機長としてコックピットに座った。「専属パイロットになるからビートルズくらい売れろよ」と小田に話したこともある。4人が歌った講堂は12年、1500人収容のホールに新築された。4人を包んだ熱気と歓声は、色あせることはない・・・

続きを読む

この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

聖光学院高校・青春スクロール オフコースを生んだ文化祭
216円(税込)

キリスト教教育修士会を設立母体として、その精神に基づく教育を理念に掲げる聖光学院高校。屈指の進学校の卒業生たちが「思い出」に挙げるのが、毎年1万人以上が集まる文化祭「聖光祭」。1965年、その聖光祭で講堂の超満員の生徒たちを魅了したのが、小田和正ら4人組の演奏だった。開校時から、「いい学校にしよう」と教師と生徒が積み重ねて形作り、様々な分野で活躍する異能なOBたちを生み出した青春の舞台を巡る。[掲載]朝日新聞(2014年1月10日〜3月7日、9600字)

    ビューアで読む

    スマートフォン、iPadでも読めますこの商品のアドレスをメールで送る

    Facebookでのコメント

    ご利用上の注意

    • WEB新書は、インターネットにつないだパソコン、iPhoneなどのスマートフォンやiPadなどインターネットブラウザを搭載した情報端末からの閲覧に対応しています。携帯電話からの閲覧には対応していません。
    • WEB新書は、著作権保護のためパソコンのローカル環境への保存はできない仕様となっています。あらかじめご了承ください。
    • WEB新書の購読には指定の料金が必要です。料金は商品のご購読時に1回発生します。ご購読後は何度でも繰り返しご覧いただけます。商品の閲覧権は1年間保証されます。ただし、著作権者や出版社などの事情により、販売停止や閲覧停止になる場合があります。
    • WEB新書の料金のお支払いはクレジットカードでの決済となります。朝日新聞社が提供する課金・認証サービス「朝日ID」への会員登録および、購読手続きが必要です。
    • WEB新書の購読に伴う取引は、「朝日ID」を運営する朝日新聞社とお客様との間のお取引になります。
    • 購読手続きが完了した商品は、商品の記事を全文閲覧することができます。購読期間中は「マイWEB新書」に保存され、何度でも閲覧することができます。マイWEB新書へのアクセスおよび、商品の閲覧には「朝日ID」へのログインが必要です。
    • WEB新書のサービスの内容や購入手続きに関して不明な点は、こちらの問い合わせ窓口よりお願いいたします。

    このページのトップに戻る