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経済・雇用
朝日新聞社

そして、中国は途方に暮れる 世界経済の期待がもたらす憂鬱

初出:2014年3月9日、16日
WEB新書発売:2014年4月11日
朝日新聞

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 2008年のリーマン・ショック後、世界経済を牽引したと称賛される中国経済。いま、その反動が中国を追い詰めようとしている。不安の一つは「影の銀行」。その代表的なものである「理財商品」と「民間貸借」は、中国経済に何をもたらすのか。そして、もう一つは、地方政府や国有地が絡んだ不動産バブル。改革に取り組みたいのに、国内からも世界からも、なお高成長を求められる中国経済の憂鬱は、確実に限界に近づき始めている。

◇「影の銀行」不安生む
 ・金融引き締め、規模拡大
◇不動産バブル、地方の命綱
 ・成長への期待、改革阻む


「影の銀行」不安生む

 西日本と東日本の幅広い地域が、雪に覆われた2014年2月14日。東京株式市場は、中国発の別のニュースの衝撃に見舞われていた。
 震源地は、東京から西に2500キロも離れた中国・山西省。同省の石炭採掘会社「山西聯盛」が経営難に陥り、借りていたお金を返せなくなったというのが発端だった。2月14日の日経平均株価は一時、300円近くも下落した。

◎東京市場に影響
 日本でほとんど名を知られていない中国の地方企業が、1日2兆〜3兆円のお金が動く巨大な東京市場を揺るがしたのはなぜか。
 この山西聯盛がお金を借りていた先が、いま中国経済にとって最大のリスクとみられている「影の銀行」だったからだ。
 「影の銀行」の現場は、山西省呂梁市にあった。
 炭鉱の集まる市郊外に、不似合いな約20階建ての高層ビルが立っていた。「山西聯盛」の本社だ。
 堂々とした外観とは裏腹に、敷地内の食品スーパーに客の姿がない。棚には品物もほとんどない。がらんとした店内で、男性店員がスマートフォンのゲームで遊んでいた。「聯盛がリストラ続きで、客がほとんど来ないんだ」


 山西聯盛は山西省内最大の民営石炭会社だ。09年以降、景気対策が活発になるなかで、石炭産業も生産を伸ばしていた。ところが11年ごろを境に、石炭業界では過剰供給が目立つようになる。鉄鋼の原料となる石炭価格はピーク時の4分の3に下落。最近は大気汚染の発生源ともされ、不況業種に転落した。
 山西聯盛は国有銀行から融資を受けることが難しく、「影の銀行」に傾斜していった。特に頼ったのは「理財商品」だった。
 理財商品は、個人投資家からお金を集め、そのお金を、特定の企業に貸し出す仕組みだ。企業から返済される元本と利息をもとに、投資家には「高利回り」が保証される。

◎無許可の高利貸
 実際には、資産運用会社である「信託会社」が、理財商品をつくり、銀行の窓口で1口100万元(約1700万円)で富裕層に販売する形態をとっていた。山西聯盛へ投資する理財商品の約束利回りは年9%以上。規制で3%程度に抑えられている国有銀行の定期預金に比べ、断然高い。人気はうなぎ登りになった。
 山西聯盛に、個人でお金を貸した者もいた。個人が高利でお金を貸す「民間貸借」と呼ばれる無許可金融が地元で流行した。
 急拡大した「理財商品」、「民間貸借」といった影の銀行には、落とし穴があった・・・

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