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医療・健康
朝日新聞社

健康のためなら毒でも喰らう サプリ大国に見る日本の未来

初出:2014年4月2日、4月3日
WEB新書発売:2014年4月18日
朝日新聞

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 「体脂肪の減少を助ける」「骨の健康を維持する」――。健康食品に、そんなつい手に取ってみたくなるような「機能性表示」を可能にする新制度を、消費者庁が検討している。手本は20年前に表示を自由化したアメリカ。だが、成人の半数以上、子供でも30%以上がサプリメントを摂取するというサプリ大国でも、効果や安全性の根拠を支える制度が確立されているとは言い難い。「店の棚に並ぶものは安全」では決してない現状を報告する。

◇健康サポート、3兆円市場
◇安全なおざり、死亡例も


健康サポート、3兆円市場

◎成人の半数摂取/効能、国の審査なし
 「腸機能をサポート」「授乳中のお母さんと赤ちゃんに」……看板や幕に書かれたサプリのPRが目に飛び込む。サプリ会社のブースで配っていたカタログには「脳と記憶」「アンチエイジング」など分野別に商品がずらり。サプリは、食事を補う目的で使う錠剤やカプセルなどのこと。たいがいの不調に対応するサプリがありそうだ。
 2014年3月上旬にカリフォルニア州アナハイム市で開かれた「ナチュラルプロダクツエキスポ・ウエスト2014」。全米規模の自然食品やサプリの見本市で6万7千人以上が来場、1981年の開始以来、最大のにぎわいだった。
 見本市では日本市場についての講演もあった。日本のコンサルタント会社のアナリストは「今は規制で健康効果を直接表示できず『サラサラ』などの表現や体験談で伝えることしかできないが、緩和が検討されており、今後変わるだろう」と報告した。
 サプリ会社「ネイチャーズ・アンサー」の国際販売担当ディビッド・フリードランダーさんは「日本は30〜40年遅れ。規制緩和が必要だ」。以前輸出を検討したが厳しい規制に断念したと話す。
 米国では、様々な成分を組み合わせて体の痛みや風邪といった悩みに対応するサプリが今のトレンドだとフリードランダーさんは言う。「この国は治療を受ける費用が高いから、病気になる前にサプリで防ぎ守る健康意識が強い」
 米国では94年に「ダイエタリーサプリメント健康教育法」が制定され、サプリに機能性表示ができるようになった。製品の健康効果が科学的にあると企業が判断すれば、発売後30日以内に米食品医薬品局(FDA)へ通知するだけで「関節の健康を促進」といった機能性を表示し、販売できる。市場は急成長、12年に320億ドル(約3兆2千億円)に達したという。
 大人から子どもまで、米国ではサプリが身近な存在だ。ロサンゼルス郊外に住む映画プロデューサー、クリスティーナ・ランバートさん(45)は5歳と4歳の息子にサプリを毎日飲ませる。総合ビタミンなど4種類。「子どもが健やかに育って欲しいからできるだけのことをします」


 運動トレーナーのキム・パスモンテさん(32)は「食事には気をつけていますが、やはり欠けているものもある。サプリで健康を保ちたいし、老化や体重増加も防ぎたい」と言う。ビタミン、魚油、グルコサミン、アロエなど9種類のサプリを毎日とる。費用は月に70ドルほどだ。
 米国立保健研究所ダイエタリーサプリメント局によると、米国成人の半数以上がサプリメントを使う。子どもの使用率も30%以上という。年齢が上がるにつれ割合は上がる。理由は健康全般の維持や向上が最も多く、60歳以上は心臓や骨、目の健康のためなど個別の健康問題が増える。
 同局はサプリ成分の効果研究のため、年間1370万ドル(約13億7千万円)の予算で大学などに資金提供する。これまでにカルシウムとビタミンDは骨の健康に必要で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクを長期的に減らすことなどがわかった。
 だが安全性と有効性が確かなサプリ成分の数は同局もわからない。担当者は「効果に科学的根拠がほとんど認められないサプリ成分も多い。我々は市場に出回る成分の数すら把握していません・・・

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