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政治・国際
朝日新聞社

国防軍も改憲も望まない 日中韓の世論は「集団的自衛権の行使容認」反対

初出:2014年4月7日号
WEB新書発売:2014年4月18日
朝日新聞

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 「戦争もできる日本国」をめざす安倍政権だが、その影響か、東アジアも国内も世情は荒ぶる傾向にある。有権者は安倍首相の国家観、歴史認識をどう見ているのか。朝日新聞社が実施した日中韓3カ国世論調査では、例えば「集団的自衛権の行使容認」について首相に同意する日本人は12%のみ、中国人の95%、韓国人の85%も反対した。誰もが軍事的緊張の高まり、戦争に巻き込まれる可能性に危機感、拒否感を抱いている。「真に賢い政治」とは何か。市井の声に耳を澄ませ、あらためて「平和国家」のあり方を問う。

◇第1章 集団的自衛権行使容認 反対増加
◇第2章 憲法・非戦 広がる賛意
◇第3章 領土・軍事 膨らむ不安


第1章 集団的自衛権行使容認 反対増加

◎行使容認反対63%、高まる平和志向
 安倍政権が集団的自衛権の行使容認に向けた姿勢を強めるなか、朝日新聞社は憲法に関する全国郵送世論調査を行い、有権者の意識を探った。それによると、集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が2013年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。憲法9条を「変えない方がよい」も増えるなど、平和志向がのきなみ高まっている。


 安倍内閣支持層や自民支持層でも「行使できない立場を維持する」が5割強で多数を占めている。
 安倍晋三首相は政府による憲法解釈の変更で行使容認に踏み切ろうとしているが、行使容認層でも「憲法を変えなければならない」の56%が「政府の解釈を変更するだけでよい」の40%より多かった。首相に同意する人は回答者全体で12%しかいないことになる。
 また行使容認層に、行使できるようにするためには近隣諸国の理解を得ることが必要かと聞いた質問では、「必要だ」が49%、「必要ではない」が46%と見方が割れた。
 ただ、朝日新聞社が今回、現地の調査会社を通じて中国と韓国でも面接世論調査を実施すると、日本の集団的自衛権について「行使できない立場を維持する方がよい」と答えた人が中国で95%、韓国でも85%と圧倒的だった。安倍政権が行使容認に踏み切る場合、中韓両政府だけでなく、両国民からも大きな反発を受けることが予想される。
 一方、国内では憲法9条を「変えない方がよい」も13年の52%から64%に増え、「変える方がよい」29%との差を広げた。武器輸出の拡大に反対が71%→77%、非核三原則を「維持すべきだ」も77%→82%。自衛隊の国防軍化に反対も62%→68%と増えた。これらの項目は13年3〜4月の調査と方法も質問文も同じだが、有権者が1年足らずの間に軍事力強化に対する不安を強めている様子がうかがえる。
 改憲の是非についても、今の憲法を「変える必要はない」の50%が「変える必要がある」の44%を上回った。質問文や調査方法が異なり単純に比較できないが、朝日新聞社の調査で改憲反対が多数を占めるのは1986年の調査までで、次に改憲是非を聞いた97年以降は賛成が多かった。
 調査は日本と中国で2〜3月、韓国で2月に行い、中国調査は主要5都市で実施した。有効回答は日本2045件、中国1千人、韓国1009人。

◎軍事的緊張「高まる」65%、「戦争巻き込まれる不安」88%
 集団的自衛権の行使容認について、13年と大きく変わったのは男性だ。
 特に男性20代は「行使できない立場を維持する」が58%から77%に、男性40代と男性70歳以上も各47%から6割近くに増えている・・・

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