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朝日新聞社

浅田真央とトリプルアクセル 「生涯の夢は取り上げられない」

初出:2014年4月10日、18日
WEB新書発売:2014年5月2日
朝日新聞

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 ソチ五輪、16位に沈んだ衝撃のショートプログラム。一転、世界の目を見張らせ、感動を巻き起こしたフリー演技。そして、世界王者に返り咲いた世界選手権。選手として一線から退くことを示唆している浅田真央が残した余韻は、いまも人々の心を揺さぶり続けている。彼女はなぜ、トリプルアクセルにこだわり続けたのか。彼女をこの4年、最も近くで見つめ続けた佐藤信夫コーチが明かす、浅田真央とトリプルアクセルの真実。

◇真央と歩んだ4年/佐藤信夫 浅田真央選手のコーチ
◇羽生、色んな振り付けを試す/ブライアン・オーサー フィギュアスケート コーチ


真央と歩んだ4年

佐藤信夫・浅田真央選手のコーチ


◎鮮やかな3Aこそ彼女の「生涯の夢」ともに追い求めた
 ――ソチのフリーの演技はいまだに印象深いです。それだけにショートプログラム(SP)でなぜ16位に沈んだのか、疑問が消えません。

 「あれほど崩れるとは私も想像していませんでした。報道などでかなり期待され重圧もあったのかなと」

 ――日本スケート連盟が準備した本番前の練習拠点のアルメニアのリンクに砂が混じっていて、エッジが摩耗してしまったみたいですね。SP当日、佐藤さんが研いで調整したと聞きました。感覚が変わるので、演技当日は避けるはずですが。

 「朝の練習後にエッジが少し傷ついていたのが分かり、私が研ぎました。あまり変化を起こさぬよう軽くやりました。フリーの日もちょっと。練習リンクは特別よかったわけではなかったのですが、皆さんの努力のおかげでちゃんと練習させてもらいました。SPの結果はエッジの影響ではないでしょう。やはりのみ込まれてしまったのでしょう」

 ――あれだけのキャリアがある選手なのに、という気もしますが。

 「記録で優劣を競う競技だと、試合で興奮状態になり、練習以上の爆発力を出して新記録をつくったなら成功です。でも、我々の競技はそれでは失敗です。普段より力が出てジャンプの滞空時間が変わると、回転オーバーする。力の出し具合が普段と変われば、いつもより速いスピードになったり、遅いスピードになったりして、狂いのきっかけになる。それほど微妙な競技なんです」

 ――練習でやったことをどう試合で再現させるのでしょうか。

 「練習で試合と同じ経験をすることです。しかし、私が指導で一番苦労した部分は、そこ。彼女は、昔の軍隊みたいに月月火水木金金なんです。週1日も休まず、『なぜ練習して悪いんだ』って反論して、試合前でも5、6時間も滑ろうとした」

 ――そんなに長時間滑れるなんてすごいです。だめなんですか・・・

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