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朝日新聞社

麻生一族と九電の深い仲 政治資金パーティー券購入から原発再稼働まで

初出:2014年4月22日〜24日
WEB新書発売:2014年5月23日
朝日新聞

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 甘利経済再生相と同様、電力業界に大きな影響力をもつ自民党の麻生太郎副総理兼財務相。そもそも実父は九州電力の初代会長だった。原発を再稼働させたい電力各社と麻生財務省の親密な連携は、政治資金パーティー券の水面下での巧妙な分担購入に現れていた。「政治資金規正法に則り適切に処理している」「他社と協力して購入することはない」。事務所や電力会社の弁明が、電気料金を払う者や納税者の気持ちを逆なでする……。変わらぬ政治家とカネ、原発再稼働の問題を九電の地元支配、麻生一族との絆を通して探る。

◇序章 麻生太郎氏のパーティー券
◇第1章 麻生一族と九州電力
◇第2章 地元支配
◇第3章 カネと票


序章 麻生太郎氏のパーティー券

◎電力9社、水面下で分担購入
 原発を持つ電力9社が10年以上前から、麻生太郎副総理兼財務相のパーティー券を水面下で分担して購入していたことが朝日新聞の調べで分かった。法律の抜け道を利用し、資金源が表面化しないようにしていた。電気料金を原資にした分担購入が判明したのは甘利明経済再生相に続き2人目。安倍内閣が電力会社の求める原発再稼働を進める一方で、2閣僚には電力業界からの政治資金の公表に踏み切る考えはない。
 複数の電力会社幹部によると、9社は麻生氏のパーティー券を1回につき約100万円分、事業規模に応じて分担して購入。各社の1回あたりの購入額を政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えていた。東京電力は2011年の原発事故後にやめたが、他の8社はほぼ同じ金額で購入を続けてきたという。
 麻生氏の関連政治団体「素淮(そわい)会」など複数団体の政治資金収支報告書によると、00年〜12年に年平均約3回、「政経文化セミナー」などの名称の政治資金パーティーを開催。平均的な年間の購入総額は数百万円とみられる。電力各社は麻生氏を甘利氏と並んでエネルギー政策に強い影響力を持つ国会議員と評価し、パーティー券購入額のトップクラスにして対応していた。
 麻生氏の事務所は「政治資金規正法に則(のっと)り適切に処理している」と回答。9電力会社は「個別内容の回答は差し控える」とし、関電は「他社と協力して購入することはない」と付け加えた。



第1章 麻生一族と九州電力

◎結束脈々
 高祖父は大久保利通、祖父は吉田茂。華麗な政界家系に生まれた麻生太郎副総理兼財務相(73)には、あまり知られていないもう一つの家系がある。実父が九州電力の初代会長なのだ。
 福岡県飯塚市で炭鉱を営んでいた父・太賀吉(たかきち)氏が九電会長に就任したのは、吉田首相がサンフランシスコ講和条約に調印して戦後日本が新たな一歩を踏み出した1951年。この年、九州では二つの電力会社が統合して九電が誕生。指導者として財界実力者の太賀吉氏に白羽の矢が立った。
 それから63年、第9代九電会長として九州財界に君臨してきた松尾新吾・現相談役(75)が、現在の麻生氏の後ろ盾になっている。
 14年3月29日、博多湾を見下ろす福岡市内のホテルで、麻生氏が地元で年1度開く政経文化セミナーが催された。1200人がひしめく会場で主催者として登壇したのは松尾氏だった。
 チケット代1万円。飲食は一切なし。「そのかわり頭と心にたっぷりの栄養をもたらします」と、松尾氏は笑いを誘った。麻生氏は続いてあいさつし、アベノミクスの実績をアピール。降壇後、最前列に座っていた松尾氏に真っ先に歩み寄り、その手を握った。
 福岡県内の議員や首長に加え、九電子会社や下請けの幹部が会場に詰めかけていた。その一人は「麻生さんに『早く原発を再稼働させて』と頼んでおいた」と記者に言った。別の会社幹部は「チケット10枚ぐらいは買った・・・

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