教育・子育て
朝日新聞社

横須賀高校・青春スクロール 首相、ノーベル賞、五輪金の原点

初出:朝日新聞2014年3月14日〜5月2日
WEB新書発売:2014年5月30日
朝日新聞

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 いまや「反原発」の急先鋒的な存在となった小泉純一郎元首相は、果たして高校生のころから「変人」だったのか。のちにノーベル賞を受賞したり、五輪金メダルを獲得したりするような人物の青春時代とは。「自主と自律」「文武両道」の精神が、開校時から脈々と受け継がれている神奈川県立横須賀高校。開拓者魂、自由、行動力、質実剛健、メリハリ、包容力、雑草……卒業生たちが口にするキーワードには、その精神があふれかえっている。

◇第1章 ノーベル賞、五輪金…そして首相も
◇第2章 開拓者魂生む/変わり者、今や社長
◇第3章 官僚より企業人に/野武士の気概継ぐ
◇第4章 南極、深海、人体…未知への挑戦続く
◇第5章 画家・漫画家・指揮者…豊かな才能育む
◇第6章 自律と自主…「軍艦の街」から精鋭出航
◇第7章 坂本弁護士よ、我らは忘れない
◇第8章 「オールナイトニッポン」も「江夏の21球」も


第1章 ノーベル賞、五輪金…そして首相も

 県立横須賀高校(以下、横高)の卒業生の多くが口にする言葉がある。
 「横高からは総理、ノーベル賞受賞者、五輪金メダリストが出た」。政治、科学、スポーツの分野で活躍した3人を引き合いに、「文武両道」を掲げる横高の特徴を表したものだ。
 旧制横須賀中を卒業した東大名誉教授の小柴昌俊(87、44年卒)は2002年に「ニュートリノ天文学」という新しい物理学を切り開いたことが評価され、ノーベル物理学賞を受賞した。「悪ガキだったよ」と笑う。物理の時間に「このような質問は理論的に無理だ」と試験を白紙で出して教師と大げんかした。旧制一高受験の時は担任に無理といわれ、奮起して1年浪人して合格。「怒りは人を本気にして人生を変えていくと学んだ。なにくそが大事だ」


 東京五輪(1964年)の柔道重量級金メダリスト猪熊功(故人、56年卒)は、とにかく強かった。2年生の時に裏山で乱闘事件を起こし、担任に「君の負けず嫌いな性格は柔道の場で発揮される。しっかり励みなさい」と言われたという。同級生で友人だった今成伸二(76、56年卒)は「彼は1年生の時から圧倒的に強かった。彼が笑うと周りも和やかな雰囲気に包まれた」。人を引きつける魅力があった。


 01年から06年まで総理を務めた小泉純一郎(72、60年卒)と同級生で55年来のつきあいがある安藤正宣(72、60年卒)は「純ちゃんは子分を作るリーダータイプではなく、おとなしかった」と話す。昼休みにクラスで野球をすると、サードは小泉の指定席。体育祭の時は巨人対西鉄の日本シリーズを見に2人で抜け出し、最後の整理体操の時刻に戻ってきた。「生徒は自分でものを考え自由に動いていた」と安藤は笑う。
 小泉のクラスを「奇人変人の集まりだった」と語るのは担任の小川省二(89)。夏休みの宿題は誰も出さず、「書ける分だけ埋めよ」と言ったら、全員が名前だけ書いて出してくる。「次の人物について知るところを話せ」と問えば「僕はその時代を生きていないので彼を知らない」と生徒が答え、クラスが沸いた。
 「変人」小泉の下地は横高時代から培われていたのか。当の小泉は創立百周年記念式典で後輩を前に「変人はマイナスのイメージが強いが、マイナスをいかにプラスにするか、を考えた方がいい」と語っている・・・

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横須賀高校・青春スクロール 首相、ノーベル賞、五輪金の原点
216円(税込)

いまや「反原発」の急先鋒的な存在となった小泉純一郎元首相は、果たして高校生のころから「変人」だったのか。のちにノーベル賞を受賞したり、五輪金メダルを獲得したりするような人物の青春時代とは。「自主と自律」「文武両道」の精神が、開校時から脈々と受け継がれている神奈川県立横須賀高校。開拓者魂、自由、行動力、質実剛健、メリハリ、包容力、雑草……卒業生たちが口にするキーワードには、その精神があふれかえっている。[掲載]朝日新聞(2014年3月14日〜5月2日、9000字)

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