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経済・雇用
朝日新聞社

福島以前の東電に戻るな 数土文夫・社外新会長の東電改革と再稼働問題

初出:2014年6月18日〜6月21日
WEB新書発売:2014年7月4日
朝日新聞

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 東京電力の企業体質は、福島原発事故を経験しても変わらなかった。2012年に東電の社外取締役、14年4月に会長に就任した数土文夫は、守旧派との権力闘争を経て、エリート組織の企画部と総務部を解体。独立した廃炉カンパニーの新設では現場を知る非主流の人物をプレジデントに起用した。持論は「海外より高い電気料金を値下げする」だが、新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働が前提という。再稼働できなければ再値上げするのか。難題山積の東電再生は結局、原発頼みなのか。「数土改革」の行方を探る。

◇第1章 東電再生へ、エリート排除
◇第2章 「現場育ち」の戦略家
◇第3章 経産官僚と「デュエット」
◇第4章 廃炉責任者に原発事故知る男


第1章 東電再生へ、エリート排除

◎社外から会長 旧体制解体
 東京電力会長の数土文夫は、親しい東電OBを見かけると声をかけた。「いい人をみつけました」。2014年初め、ある会合でのことである。数土の言う「いい人」は東電のエリート組織「企画部」出身だが、元会長の勝俣恒久や元社長の西沢俊夫ら主流派に連ならず、社内で「傍流にいた」と評される人物だった。
 東電が14年3月31日発表した幹部人事で、その人物は取り立てられた。「裏で勝俣さんとつながってそうな人は外し、そうじゃない人を起用した」。取締役の一人はそう打ち明けた。
 川崎製鉄の社長を経て、川鉄とNKKが統合したJFEホールディングス社長を務めた数土は12年6月、当時の民主党政権に請われて東電の社外取締役に就任。以来ほぼ専念し、「筆頭社外取締役」と言われるほど存在感があった。
 福島第一原発事故を起こし、実質国有化された東電だが、事故後3年たっても社内の人事秩序は旧体制が維持されてきた。数土はそれを壊しにかかった。
 数土は1月以降、幹部社員との面接を重ねてきた。「面接じゃなく意見交換会です。3・11前の東電に戻るな、と」と数土。が、東電の幹部たちが受けた印象は、そんな生やさしいものではなかった・・・

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