教育・子育て
朝日新聞社

多摩高校・青春スクロール 異端を排除しない自由な魅力

2014年07月17日
(9900文字)
朝日新聞

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 終戦後、川崎市内で最初に開校した県立高で、2016年に60周年を迎える多摩高校。早くからロック音楽の部活動認め、勉強しろとも運動しろとも強制せず、個性や異端を深く受け入れる。多くの生徒たちは、そんな「放置」とさえ感じさせるような雰囲気の中で、「自由と責任」への自覚を養っていった。面白く懐深い先生たちに送り出され、各界に飛び立って活躍している卒業生たちが、その魅力と自らの青春時代を懐かしく語る。

◇第1章 部活にロック音楽「おたまじゃくし」
◇第2章 勘の良さ、野球で磨く/県4強の誇り
◇第3章 アナウンサー、放送部から運動部から
◇第4章 「自由は責任伴う」 校風が法曹生む
◇第5章 ど根性、営業に活用/どう工夫すべきか
◇第6章 「異端」排除せず、芸術・文化の世界に
◇第7章 気象予報士生みの親/官界でも本領
◇第8章 何事にも真剣、学術・研究分野に逸材
◇第9章 医師に作家に市長に…新天地開拓


第1章 部活にロック音楽「おたまじゃくし」

 多摩高校は進学校だが、卒業生たちは勉強よりも、いかに青春を燃焼させたかを熱く語る。自由な校風ゆえか、早い時期からロック音楽の部活動も認められた。数々の人材が巣立った「おたまじゃくし」だ。
 1980年代にロックに熱中した人なら、長髪に端正な顔立ちで何台ものキーボードを自在に弾きこなす「VOW WOW(ヴァウワウ)」の厚見玲衣(56、76年卒)を覚えているだろう。解散後も忌野清志郎やRCサクセションのライブで活躍。今もステージに立つ。
 3歳から小学6年までピアノを習い、フォークソングがブームだった中学時代にはギターを買った。「F」のコードを押さえると指が痛くなったが、逆に「コードをピアノの鍵盤に置き換えればいいんだ」と気付いたという。多摩高でおたまじゃくしに入った厚見は「先輩たちのレベルの高さに刺激を受けた。それがプロになったきっかけの一つ」と話す。
 オルガンを倒しながら弾く厚見の姿に衝撃を受け、入部したのが、ギタリストでアイルランドの民族音楽で使う弦楽器、ブズーキ奏者の沢村拓(55、77年卒)。卒業後、厚見のバンドに誘われてプロになり、西城秀樹や矢沢永吉、今井美樹、中村雅俊らのサポート・ギタリストも務めた。3年の文化祭で、後に妻となるピアニストの西山淳子(55、77年卒)の作詞で曲を作ったことは忘れられない。


 おたまじゃくしを正式な部活に昇格させた功労者が、厚見や沢村の先輩で、現在は麻生高校教諭の風巻浩(58、74年卒)。「おたまじゃくしは1年の時、3年生がやっていたバンド名。多摩高を乗っ取るという意味だったと思う」。3人組バンドのベース奏者だった風巻は顧問になってくれる先生を探し、学校から「公認」を取り付けた。
 「修学旅行の服装は制服だと指定されたが、みんなで抗議して私服を実現した。『このままでいいのか』と物事を一度疑ってみる考え方は、多摩高で身についた」。85〜98年に母校で社会科を教えた時、おたまじゃくしに音楽家の小沢健二(46、87年卒)がいた。「高校生離れしたセンスだった」と振り返る。
 おたまじゃくし出身の秦正彦(53、79年卒)は、米国の弁護士と公認会計士の資格を持つ税務コンサルタント。体育祭では応援代わりにギターでジェフ・ベックを弾いた。「米国で大切なのは人前で堂々とやること。高校時代はギター一色。練習してうまくなると、人前であがらなくなった。その経験がいま役立っている」と語る・・・

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多摩高校・青春スクロール 異端を排除しない自由な魅力
216円(税込)

終戦後、川崎市内で最初に開校した県立高で、2016年に60周年を迎える多摩高校。早くからロック音楽の部活動認め、勉強しろとも運動しろとも強制せず、個性や異端を深く受け入れる。多くの生徒たちは、そんな「放置」とさえ感じさせるような雰囲気の中で、「自由と責任」への自覚を養っていった。面白く懐深い先生たちに送り出され、各界に飛び立って活躍している卒業生たちが、その魅力と自らの青春時代を懐かしく語る。[掲載]朝日新聞(2014年5月9日〜7月4日、9900字)

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