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政治・国際
朝日新聞社

政党なんて要らなくないですか? 8人の研究者・政治家が語るその未来

初出:2014年7月9日、10日
WEB新書発売:2014年7月31日
朝日新聞

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 共通の理念や政策を持つ政治家が政党に集い、国民を代表して政治を行う。それが政党政治のはずだが、昨今、それがなんだか空々しく聞こえる。1994年から95年にかけて実施された一連の政治改革で、日本は2大政党制を志向した選挙制度へ移行したが、その後も議員の不祥事、議会の機能不全、国民意識との乖離を問う声は絶えず、複雑化した政策オプションをパッケージの形で選ぶ2大政党制への不満や、急速に変化する政策ニーズを反映しにくい代議制への苛立ちも国民の間で募っている。政党と政治は、今後どこに向かうのか。朝日新聞社「未来への発想委員会」がゲストと交わした議論を紹介する。〈ゲスト=敬称略〉亀井静香(衆院議員)、広井良典(千葉大教授)、萱野稔人(津田塾大教授)、待鳥聡史(京都大教授)、松井孝治(慶応大教授)、阿部彩(国立社会保障・人口問題研究所、社会保障応用分析研究部長)、神里達博(大阪大特任准教授)、牧原出(東京大教授)。

◇権力握り主張実現してこそ/《ゲスト》衆院議員・亀井静香(かめいしずか)さん
◇「3大政党プラス緑」に集約/千葉大教授・広井良典(ひろいよしのり)さん
◇政策競争は将来の財源奪う/津田塾大教授・萱野稔人(かやのとしひと)さん
◇有権者と政策との仲立ちを/京都大教授・待鳥聡史(まちどりさとし)さん
◇民間の人材を政策部門に/《ゲスト》元内閣官房副長官・慶応大教授 松井孝治(まついこうじ)さん
◇半数は女性議員にしないと/国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長 阿部彩(あべあや)さん
◇専門知とりこむ民主主義を/大阪大特任准教授・神里達博(かみさとたつひろ)さん
◇政権交代の時代の憲法とは/東京大教授・牧原出(まきはらいづる)さん


◇権力握り主張実現してこそ

《ゲスト》衆院議員・亀井静香(かめいしずか)さん
 私はいま、独りぼっちの傘張り浪人。国民新党を離党して2年あまり、日本未来の党を結成したり、みどりの風に加わったりと悪あがきしてきたが、全部失敗した。
 脱原発をはじめ、一番大事だと思うことを訴えてきた。福島の原発を制御できず、放射性物質がどれだけ漏れているかわからないのに、新増設もありうるみたいなことを言うのは正気の沙汰ではない。
 でも、有権者に響かない。政策的に同調してくれる人も選挙では逆の行動をとる。目先の自分の利益で判断し、長い目でみてみんなの利益になることには、なかなか耳を貸してもらえない。いま政治家は信用がなく、世論を喚起できない。
 2013年の衆院選は、小沢一郎・生活の党代表や嘉田由紀子・滋賀県知事らと、日本未来の党をつくって戦った。
 原発もTPP(環太平洋経済連携協定)も消費税も、政策はピタッと一致していたが、戦う前から負けると思っていた。同志的な結合がないからだ。体を大きくして選挙を戦いたいだけなんだ。選挙前、私が嘉田さんに会えたのは10分だけだ。
 政策は大事だ。基本的な政策理念が揺らげば徒党や烏合(うごう)の衆になる。だが、理屈だけ言ってもしかたがない。国と国民のために命を賭ける覚悟のあるやつが、酒を飲んだりしながら一緒になるのが基本だよ。
 そして、権力を握ることだ。
 自民、社会、さきがけの3党で政権をつくる時、私は社会党の村山富市委員長に「過去の政策がどうあれ、大事なのは良い権力をつくること。小沢から権力を奪い取ることだと思いませんか」と言ってくどいた。村山さんも「その通りだ」とおっしゃった。
 のちに私は、その小沢さんと手を握った。
 私は郵政民営化をめぐって小泉純一郎首相と対決し、自民党を離れて国民新党を結成した。すると小沢さんが「郵政民営化見直しで国民新党に同調する。その代わり、民主党候補を支援するよう郵政政策研究会に働きかけてもらえないか」と持ちかけてきた。郵便局長やOBによる郵政政策研究会は民主党候補を応援し、政権交代につながった。
 国民新党をつくって正解だった。無所属では、小沢さんが「手を結ぼう」という対象にならない。我々と結ばなければ、民主党政権は郵政民営化を見直さなかっただろう。
 これは政治だ。学者同士が意見を戦わせるのとは違う。実現するすべもなく、政策を唱えるだけでは意味がない・・・

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