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朝日新聞社

青木茂の「庶民目線」人生 サラリーマン新党にかけた経済学者の矜持

初出:2014年7月22日〜7月25日
WEB新書発売:2014年8月14日
朝日新聞

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 「日本の消費税は欠陥税制。国民はなめられています」。経済学者から国会議員になり、1989年の消費税3%導入に反対して以来、消費税が一部の者に実質「免税」される不公平と、いつまでも実施されない軽減税率に苦言を呈す。またアベノミクスは失策で、「インフレが進めば庶民のカネが目減りする」と批判。いまも変わらぬ「庶民目線」はどのように培われたのか。元サラリーマン新党代表・経済学者が、幼少期から反軍国主義の学生時代、学徒動員と戦後の学者生活、「クロヨン」批判の政治活動などを語る。

◇第1章 「たかが」の言葉が庶民目線の原点に
◇第2章 学徒動員、郷愁と絶望感に沈み込む
◇第3章 大学で奨学生選考、税の不公平知る
◇第4章 反響絶大、永田町のドン・キホーテに


第1章 「たかが」の言葉が庶民目線の原点に

 ――消費税が1989年に始まるとき、サラリーマン新党代表として反対されました。当初3%の税率は2014年8%になり、10%も視野に入っています

 消費税の導入時、私は世界の納税者が税金のムダづかいを監視しようと結成した「世界納税者連合」で説明しました。日本の消費税に対する評価はひどいものでした。
 問題点の第1は、我々が消費税として支払った税金の一部が国庫に入らず、民間事業者のポケットに収まるのを法律で認めたことです。課税売上高3千万円以下の中小事業者は免税されましたから。問題点の第2は、消費税に欠かせない庶民のための軽減税率が実施されなかったことです。しかし、大きな反対運動は起きず、「日本人はおとなしいですね」とアメリカの代表に皮肉られました。
 03年度の改正で、納税しなくてもいい業者の売上高は3千万円から1千万円に引き下げられた。しかし、1千万円でも問題があります。不公平は残っています。軽減税率もいまだ実施されていない。この二つを改めないと消費税の名に値しない、それが国際世論です。欠陥税制なのに8%にまで突き進み、さらに10%も視野に。国民はなめられています。
 社会格差の広がりも心配です。収入が少ない世帯ほど、収入に占める消費税の負担率が高くなるのですから。消費税アップという不公平の波を受ける人が増えています。
 
――消費税が8%に上がったことよりも、景気が回復基調にあることへの評価が勝っているのでは

 デフレ傾向からインフレ傾向に移る過渡的な現象です。アベノミクスともてはやされていますが、安倍晋三首相の失策ですよ。インフレというのは、意図した適度なところで落ち着かせることはできない。ゴムひもを引っ張って伸ばしても、思った長さにできないのと同じ。インフレ社会が進み、庶民のカネが目減りする好ましくない状態に陥ります。
 
――生家は愛知県豊橋市の老舗鰻(うなぎ)店です。恵まれた子ども時代でしたか

 鰻屋は、やはり水商売。とても「名家」に入らない。豊橋には名家があり、旧制豊橋中学1年のとき、何のテストだったか忘れたが、その名家の子より成績が少し良かったことがあった。後に本人から聞いたのですが、「たかが鰻屋のせがれに負けたのか」と親に叱られたというのです。その言葉が心臓に突き刺さりました。「たかが鰻屋のせがれ」「たかがミニ政党」と、「たかが」が、その後の人生を支配することになります。上からの目線ではなく下から、英雄ではなく庶民に重きを置く生き方をしようという原点になった出来事です・・・

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