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教育・子育て
朝日新聞社

冬の鉄路の子供たち 1日1本しかない汽車もある北国の通学風景

初出:2015年1月7日〜1月10日
WEB新書発売:2015年2月5日
朝日新聞

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 北海道の旭川と網走を結ぶJR石北線の沿線では、1日に1本しか列車が止まらない駅もあり、都会とはひと味違った「通学風景」が見られます。車内の座り方の「ルール」、猛吹雪による運休、紅葉による「空転」、シカとの「衝突」……大変なこともあれば、心暖まるエピソードもある、北海道立遠軽高校の生徒4人の、ちょっとユニークな「汽車通(汽車通勤)」をスケッチします。

◇第1章 1日1本、次はない
◇第2章 大雪、落ち葉、シカ…試練次々
◇第3章 特急通い、ラグビーのためなら
◇第4章 「汽車通」だから見えた世界


第1章 1日1本、次はない

 2014年末の朝。細かな雪が降り続いていた。静まり返った白銀の世界に延びる2本のレール。傍らに4畳半ほどの待合室。北海道の旭川と網走を結ぶJR石北線の旧白滝駅(遠軽〈えんがる〉町)だ。
 カン、カン、カン……。


 午前7時15分ごろ。列車が近づくと、近くの踏切が鳴り始めた。気温は零下10度。無人駅のホームから列車へ乗り込んだのは女子高生だけだった。
 道立遠軽高校に通う2年生の原田華奈(かな)さん(17)。駅まで車で約5分。両親に送ってもらい、石北線で遠軽駅へ向かう。
 旧白滝駅は鉄道ファンから「秘境駅」と呼ばれる。近くには数軒の民家があるだけで、上りは1日3本止まるが、下りは1本だけ。原田さんが朝の通学に使う列車だ。
 乗り遅れたら、次は来ない。約6キロ離れた隣の白滝駅には9時台の列車も止まるが、それに乗っても始業には間に合わない。実は1度だけ乗り遅れ、親に車で高校まで送ってもらったことがあった。「入学したばかりで慣れていなかったから。でも、もう大丈夫」
 朝の列車は2両編成で、旧白滝駅を出発する頃には乗客が十数人になる。ほぼ全員が遠軽高校生。携帯音楽プレーヤーで歌を聴いたり、スマートフォンをいじったり。テスト期間中はノートを広げて勉強する生徒も。遠軽駅まで約35分。朝の車内は静かな日が多い・・・

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