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文化・芸能
朝日新聞社

あんみつのひみつ 誕生秘話からUボートとの接点まで 日本人の心をつかんだ理由

初出:2015年1月27日〜1月30日
WEB新書発売:2015年2月12日
朝日新聞

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 俳優の仲代達矢さんも大好物だという日本の伝統的なスイーツ、あんみつ。その誕生は、実はそれほど古くはなく、1930年。東京の老舗甘味処「銀座若松」だ。あんの原料となる小豆、隠れた(?)主役の寒天、奥ゆかしい求肥……。甘党の心をつかんで離さない秘訣を探ってみた。

◇第1章 役者が望んだ強烈な甘さ
◇第2章 不動のエースは淡い色
◇第3章 Uボートが積んでいった!?
◇第4章 酒飲みだって大好き


第1章 役者が望んだ強烈な甘さ

 私はあんみつが好きだ。男のくせに、などとは言ってほしくない。寒天の涼やかさに蜜やあんの甘さがからまり、口の中に幸福感が広がる。
 引き合いに出すのは恐れ多いのだが、俳優の仲代達矢さん(82)が夕刊の「オトコの別腹」で、あんみつ好きを告白していた。「でも、甘い物なんて男の食べるもんじゃないって考えがあるから、買うのが照れ臭い」とも。男だって結構、不自由なのだ。
 あんみつが世に出たのは、そんなに昔のことではない。1930(昭和5)年、東京の銀座若松で、みつ豆にあんを載せて売り出すと、これが評判をよんだ。考案者は2代目の森半次郎。明治期に創業したお汁粉屋さんだったから、あんには自信があった。
 半次郎の娘さんと結婚し、工場長として当時からの味を守る久野憲治さん(80)は「よくお見えになっていた歌舞伎の役者さんや宝塚劇場の団員さんから、もっと甘いものが食べたいという要望があって、甘みの強いあんを工夫したようです」と話す。
 確かに銀座若松の「元祖あんみつ」は甘い。だけど、くどくない。その強烈な甘さゆえに、あんみつは画期的な甘味のスタンダードになれたのかもしれない。


 「あんみつ姫」という漫画があった。49年から5年間、光文社の月刊誌「少女」で連載された。主人公があんみつ姫、父の名前があわのだんごの守(かみ)、母はしぶ茶、家老があべかわ彦左エ門で、小姓が甘ぐりの助、腰元がかのこ、しるこ、あんこ、だんご、とまるで甘味処(かんみどころ)のお品書きではないか。
 編集長だった故・黒崎勇さんが、漫画雑誌「COM」67年7月号で舞台裏を明かしている・・・

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