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経済・雇用
朝日新聞社

第三の翼は、こうして折れた 航空業界水面下バトルの裏事情

初出:2015年2月11日〜2月14日
WEB新書発売:2015年2月26日
朝日新聞

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 2015年1月、航空業界国内3位のスカイマークが、民事再生法の適用を申請し、経営破綻した。業界の「第三極」として設立を後押し、育ててきた国交省。羽田の発着枠でANA陣営に迫りたい日本航空。一度は再建支援に傾いていたANA。そして、航空会社の支援を前提としない再建策を掲げて登場した門外漢の投資ファンド。入り乱れるそれぞれの思惑の間をさまよい、最後は力尽きたスカイマークが、復活する日は来るのか。

◇第1章 第三極、ANAに降伏
◇第2章 JALとの提携、国交省「待った」
◇第3章 縄張り争いにのまれ提携幻に
◇第4章 投資先と練る再建、手法に自信


第1章 第三極、ANAに降伏

◎スカイマークが支援要請 一転破談
 その会合が開かれたのは、2015年1月上旬だった。東京駅に近いオフィスビルの会議室。スカイマーク社長の西久保慎一、ANAホールディングス幹部らが顔をそろえた。複数の出席者は、このときの光景をいまも鮮明に覚えていると話す。
 「支援をお願いします。私は会社から身を引き、株も全て手放しますから」
 西久保は、隣に座ったANA幹部に深々と頭を下げた。ANAは取引銀行を通じて、スカイマークが会社更生法の適用を申請すれば、自ら出資して再建を支援すると提案していた。
 IT業界から転身した西久保は、ANAと日本航空に対抗する「第三極」にこだわった。特に最大手ANAには敵対心をむき出しにしてきた。支援要請は、そのANAへの「降伏」だった。
 スカイマークはこのとき、経営不安が伝えられたことで客足が遠のき、手元の資金が急減していた。社員の給料や飛行機のリース料を払うため、西久保が個人の資産7億円を会社に貸すところまで追い詰められていた。
 ANA傘下に入れば、従業員や顧客には迷惑をかけずに済む――。西久保は信じた。
 ところが、事態は急変する。1月13日、面会に来た西久保にANA幹部が伝えた。「共同運航はやりましょう。しかし他の支援はできない」。プライドをなげうって実現を目指したシナリオが、崩れた・・・

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