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世相・風俗
朝日新聞社

新幹線大開業 北陸新幹線が切り拓く夢と輝きの新時代

初出:2015年1月1日〜1月11日
WEB新書発売:2015年2月26日
朝日新聞

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 2015年3月に開業する北陸新幹線を、人々はどう迎えようとしているのか。運転士、アテンダント、旅館・ホテル経営者、アートディレクター、車両のフロントガラス製造メーカー、茶店・カフェ経営者、地元私鉄のガイド……。さまざまな人の思いを伝える、朝日新聞石川県版のレポート。

◇序章 共にまだ見ぬ風景へ
◇第1章 懐かしい風景結ぶ
◇第2章 くつろぎも「工芸」も
◇第3章 「安全」重い責任胸に
◇第4章 「育ての地」に恩返し
◇第5章 職人が作る快適視界
◇第6章 おもてなしで魅せる
◇第7章 金沢に宿、結ぶ出会い
◇第8章 活躍・癒やしの場近くに
◇第9章 笑い忘れず、人つなぐ


序章 共にまだ見ぬ風景へ

グランクラスアテンダント
千歩さくらさん(26)
木村知恵さん(25)
松重詩乃さん(25)


 個室のように座席がゆったりした車両に乗り込むと、華やかな制服の女性たちが、やわらかくほほ笑んで出迎える。彼女たちは、新幹線のファーストクラスと呼ばれる最上級席「グランクラス」で、飲食の提供などをするアテンダント(客室乗務員)だ。
 グランクラスは東北や長野に続き、北陸新幹線にもお目見えする。JR東日本グループの日本レストランエンタプライズ(東京都)に41人が採用され、主に東北新幹線で接客を学ぶ。


       ◇  ◇  ◇
 石川県能美市出身の千歩(せんぶ)さくらさん(26)は京都の大学を出て名古屋で就職。「両親の元にいたい」と故郷に戻り、JR小松駅で働いていたとき、求人情報が目に入った。「もっと接客を磨きたい」と、再び地元を離れる決心をした。
 木村知恵さん(25)は富山市の路面電車「富山ライトレール」でアテンダントだった。富山県小矢部市出身。県外に住んだことはなかったが、「世界中のお客さんが利用する新幹線でスキルをアップさせたい」と好奇心が勝った。
 航空会社に勤めていた福岡県小郡市出身の松重詩乃さん(25)は「同じ接客でも今の仕事は話す時間が短い。お客さんの旅の背景に触れてみたい」。魅力がもう一つ。「開業に携われる機会はそうそうない」。面接では、北陸と東北の両方に乗務する東京配属の打診も受けたが、「1期生」にこだわり、金沢営業支店に配属された。


       ◇  ◇  ◇
 新幹線車両での研修は14年11月から。始まる前はあれこれ身構えた。セレブな乗客ばかりだろうか。沿線の話題を聞かれたらどうしよう……。
 始めてみると、車内でカメラを撮りまくる人がいたり、提供される食事や飲み物は何でももらおうとする「記念乗車」らしき人がいたり。
 会話は「軽食は何?」「駅のエスカレーターに近いのはどっち」など実務的なことばかり。それでもグランクラスを撮影する人から「一緒に撮っていいですか」とよく聞かれる。注目されていることを肌で感じる。
 千歩さんは「ビジネスや旅の一部に携われるのが幸せ」と思う。松重さんは「何もしないで放っておいて、というお客さんもいる」と話す。サービスを受けずに自分の時間を過ごすことも、最上級席の使い方の一つと知った・・・

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