【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

社会・メディア
朝日新聞社

だれも知らない北陸 新幹線で変わるのか

初出:2015年2月20日〜2月22日
WEB新書発売:2015年3月12日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 北陸新幹線は2015年3月、東京−長野間(いわゆる長野新幹線)を延長する形で東京−金沢間が開通。直前に沿線の自治体が都内で開いたイベントには多くの人が詰めかけ、関心の高さを浮き彫りにした。しかし、新潟県のネット調査では、謙信公祭や高田公園(ともに上越市)などの観光スポットの首都圏での知名度は低く、ほとんど知られていない。新幹線の開業で、一部の在来線の経営は第3セクターに移される。地域の現状と課題を追った。

◇第1章 上越市、誘客へPR躍起
◇第2章 客を釣る、糸魚川の味で
◇第3章 スイッチバック、前面に


第1章 上越市、誘客へPR躍起

◎認知度アップへ戦略必要
 東京駅近くの地下街。2015年2月7、8の両日、北陸新幹線の沿線11市が集結して観光物産をPRするイベントがあり、2日間で約1万5千人の人出でにぎわった。
 新潟県上越市はブースに笹(ささ)団子やコメといった特産品のほか、上越妙高駅を紹介するチラシなどを置き、日本三大夜桜の一つと称される4月の高田城百万人観桜会(高田公園)のポスターも貼った。
 足を止めた東京都内の平井章さん(53)は「上越新幹線は知っていたけど、上越市ってあるんですね。観桜会も知らなかった」。都内に住む金子浩司さん(54)も「直江津駅は知っている。上越妙高駅は知らなかった」と話した。

 市と上越妙高駅の知名度は、いまだに低い。最速列車「かがやき」が通過する現実がここにある。
 県は14年9月、首都圏4都県の在住者500人に、北陸新幹線沿線地域の観光地などの認知度を調査会社に委託してインターネット調査した。

 37の観光地などを示して選んでもらったところ、上越妙高駅から直江津港経由で行ける佐渡島の「佐渡金山」が県内最高の7位。上越市では「春日山城跡」の26位が最高で、「高田公園・日本三大夜桜」は29位に沈んだ。
 市の過去の試算では、上越妙高駅の1日の乗降客数は3千〜3500人で、長野駅の新幹線乗降客数の4分の1程度。観光客を増やして「かがやき」の停車を実現するには、従来と違った対策が必要になる。
 上越観光コンベンション協会の片岡明事務局長(64)は「まず観桜会に来てもらい、上越の名を知ってもらうようにしたい」。市や協会は早めにPRし、春のツアー商品にも組み込んでもらうため、例年12月に決めていた観桜会の日程を14年は10月に決定。長野市の善光寺御開帳(ごかいちょう)を共同PRするポスターも作成した。
 ただ、こうしたイベント頼みの姿勢は、通年型観光が育たない一因にもなってきた。いくら観桜会をPRしても、ほかに売り込む観光資源がないと再訪者を確保するのは難しい。
 上越商工会議所は14年、同協会と組んで上杉謙信の居城、春日山城跡を観光拠点にするよう事業計画をまとめた。休憩所などの整備が進めば、年間3億1200万円の経済効果があると試算。案内板設置など整備は少しずつ進んでいる。
 14年からは上田城跡がある長野県上田市の上田商議所と共同で観光ルートの開発を検討。同市ゆかりの真田幸村が16年のNHK大河ドラマになることも追い風にし、誘客を目指す。上越商議所の東條邦俊専務理事(66)は「地道にPRして取り組んでいく」と語る。
 JRは北陸新幹線のテレビCMで富山、石川、福井3県をPRしている。「かがやき」に続いてCMも県内を「通過」し、上越市の存在感は薄まるばかりだ・・・

このページのトップに戻る